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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)の商品レビュー 敗因研究ではなく組織分析の書として秀逸
この本が単行本として最初に世に出たのは1984年。しかも分析に当たって底本としたのが更に昔の戦史叢書(1966−80年刊)。その後発表された膨大な戦史研究をふまえて本書を読めば、個々の事例分析はツッコミどころ満載である。 全面的改定が必要
この本の最大の価値は、史上初めて観念論でない太平洋戦争を分析したという価値しか今現在は存在しない書籍であり、著者達の間違い探しにこそ、現在におけるこの著作の価値である。例えば、真珠湾作戦を成功した作戦と見るのは、現在においては、国粋主義者か戦略論(現在の数学モデル型)が理解出来ない文化系的馬鹿以外に存在しない。また、組織論や戦略論・戦術論的には、ノモハン・ガダルカナル・インパール作戦は同一のものである。 また、この3作戦は外国人にとっては、文化人類学の課題であり、日本人にとっては、辻や牟田口の精神病理学的課題である。故にこの3作戦を取り上げても全く意味をなさない作戦である。 この3作戦を辻や牟田口の作戦プラン通り成功させるためには、兵器として、タケコプターと仮面ライダーの変身ベルトは必需品である。 この3作戦を取り上げるのであるならば、この3作戦の原形である満州事変と二二六事件を取り上げた方が組織論的理解力を高める物になる。 但し、ミッドウェイ・レイテに関しては、現在においても価値はある。 ミッドウェイは、作戦の二重目標に対する課題として好例であるし、レイテはやはり二重目標ではあるが、この場合は、組織目標と作戦目標が相反する場合の課題として好例である。 沖縄戦に関しては、兵力分散の愚を陸軍参謀本部が行うが、その後の沖縄の司令官の行動は、硫黄島で戦った栗林中将同様であり、沖縄戦の問題である沖縄県民に対する責任は、現地司令官にはなく、参謀本部にあるが、この沖縄戦は、硫黄島同様、出来るだけ米軍の本土上陸を遅らせることが、この作戦の目的であるため、この作戦は失敗した作戦とは言えない。 故に、ノモハン・ミッドウェイ・インパールの3作戦を下げて満州事変と二二六事件を変わりに上げ、沖縄戦を下げて真珠湾作戦を取り上げるべきである。 真珠湾作戦を取り上げる意味は、作戦の成功は戦果の有無ではなく、戦略目標若しくは戦術目標の成功の可否によって決定するという考えによる。 真珠湾は、戦略目標である石油備蓄設備を一切攻撃していない点、戦術目標である米機動艦隊は存在しなかった為、その後の米海軍のために老朽艦艇を処分し、米艦隊の作戦速度を上昇させる役割にしかならなかった点にある。また山本が何故本作戦を実施したかに関しては、日本海軍の対米作戦プランを知らなければ、真珠湾作戦の意味は理解出来ないが、簡単に言えば「臭い臭いは元から絶たなければダメ」である。 日本海軍は、対米作戦プランは、ハワイを拠点とし日本へ進撃する米海軍には、北上プラン・フィリピン北上と実際に行われたレイテ海戦があり、米海軍を日本へ来させない為には、ハワイの軍事能力を無力化する必要があった、米海軍には完敗は、必需であった日本海軍は、戦力のある内に米艦隊の戦略拠点であるハワイを無力化する必要があったが、山本と南雲は犬猿の仲であったため、山本と南雲の間に意識疎通ができなかった為、戦略目標である石油備蓄設備の破壊を行わなかったのである。 太平洋戦争の失敗に関しては他に外務省の西側先進諸国に関して、一切理解出来ないという問題もあるが、この書籍の取り扱う範囲を完全に越えているので除く。 この書籍が現在も高い評価を得ている最大の理由は、著者や愛読者を含めて、歴史を知らない事と、数学が橋にも棒にも引っ掛からない点にある。 この書籍を評価するのは、歴史音痴か数学音痴のどちらかか、その両方のどちらかである。 サプライズのない穏当妥当な帰結
旧日本軍の失敗事例を元に、なぜ組織として失敗したのかを研究した大作である。ノモンハン事件(失敗の序曲)、ミッドウェー作戦(海戦のターニング・ポイント)、ガダルカナル作戦(陸戦のターニング・ポイント)、インパール作戦(賭の失敗)、レイテ海戦(自己認識の失敗)、沖縄戦(終局段階での失敗)の6事例を取り上げ、戦略・組織おける日本軍の失敗の分析を行い、失敗の本質と今日的課題を演繹している。 旧日本軍と平成の官僚組織、政治は全く同じ轍を踏もうとしているのか。
本書は私が学生時代の21くらいの時に巡り会いました。しかし、当時の私には難しすぎて、良く理解ができずに途中で読むのをやめてしまったものですが、今回また思い切ってまた最初から全てを読み直し、本ブログに書くに至った次第です。当時は枝葉末節な字句に目がいきすぎて、敗戦を題材とした社会科学、経営戦略学、組織論的な論考という、大きな目標を失ってしまったのでしょう。 40年以上前の組織を研究する意味。
主に大東亜戦争での6つの作戦を対象に、作戦を失敗に至らしめた要因を日本軍の組織構造や行動に的を絞って分析しています。敗戦について組織論という新しいアプローチで分析しているので、戦史に興味がある方は楽しめると思います。しかし、本書がマネジメントにとって参考になるかは疑問です。何故ならば、日本軍の失敗要因として列挙されているものは、現代のマネジメントの見地からは低レベルなものばかりだからです。これほど明確な失敗要因ならば旧日本軍ではなく、現代の倒産した企業群を対象にしても同様の要因が得られたものと推測します。例えば成功体験が足枷になるというケースは、何時の時代のどの組織にも容易に観察できます。現代の組織ではなく、大東亜戦争時代の日本軍を分析対象にする利点が不明確に感じました。マネジメントという分野は新しい分析手法や戦略論、技術革新、新規のビジネスモデルなどを取り込んで発展してきました。40年以上前の組織を研究対象にしても、現代のマネジメントから抜け洩れていた新規性がある教訓は特に無いと思いました。軍という組織は読者を惹きつけますが。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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