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文明の生態史観 (中公文庫)の商品レビュー 『文明の生態史観』の素晴らしさ
梅棹忠夫氏の『文明の生態史観』と初めて出会ったときの衝撃はものすごいものがありました。世界の歴史の発展過程の法則といいますか、その仕組みがものの見事に解明してあり、まるで手品の種を見せられたような鮮やかさを感じたものです。最初に『中央公論』誌上に発表されたのが1957年2月ですので、すでに半世紀以上過ぎたことになります。 ユーラシア諸文明のなかの新しい日本観を築いた古典
本書は1950-1960年代に著者がアジア諸国を調査・旅行した経験を踏まえて、ユーラシア大陸における諸文明の見取り図を実証的・生態的に描いたものだ。著者は世界における日本の位置付けを熟考し、東洋・西洋という慣習的区分を乗りこえ、ユーラシア大陸を高度な近代産業文明の段階に達した第一地域、およびそうでない第二地域とに区分する。そして、日本をユーラシア東側における唯一の第一地域として、ユーラシア西側の西欧諸国と並行的に進化してきたのだという。第一地域はその特徴として、封建制の存在と早い時期からの市場経済の発達があげられ、第二地域はその特徴として、古くから文明が栄えて専制的帝国を築いたが、封建制を発達させることなく、絶えず遊牧民による破壊的圧力にさらされ続けたことがあげられる。 「東洋=西洋」を崩した、新しい文明観
単純な、「東洋=西洋」の文明観を否定し、筆者は間に「中洋」を設ける。 未来を支える名論文
固体とその発生地の環境条件との相互作用を考察する生態学的方法論をもとに、地球上の文明の比較がされていました。 大物のアプローチ
東洋と西洋という区分による、(旧大陸についての)常識的な世界像を覆すような試論です。著者はこの区分の変わりに、第一地域(=西ヨーロッパおよび日本)、第二地域(=その他の地域)という大胆な区分を提唱しています。著者のこうした括りの根底にあるのは、現在(1957年)で、高度な文明を持つのは西ヨーロッパと日本しかないという事実への認識です。これをベースに、ではなぜ第二地域では高度の文明が未発達なのか?第一地域と第二地域の根本的な差異は何なのか?いうことを、封建制が発達していたかどうかなどの社会構造の違いや、地域環境的条件の違いなどに求めていくわけです。アウトラインでしかないと著者も認めているとおり、弱い具体例から主観論で筆を滑らせがちですが、当時相当議論を巻き起こしたそうで、斬新な世界像だったことが伺われます。著者のこうした世界区別の妥当性については口を挟める分際ではないですが、一読して明らかなように、対象に対するアプローチの仕方が一般の学者とは違ってかなり大胆なように思いました。さまざまな資料はあくまで従で、まずは自分のあたまでモデルを構築し、それを主としているような感じです。また補助線の引き方によって世界などいろんな見方ができるものだなといまさらながら再認識させてくれるような本でした。単に内容だけでなく、その対象への迫り方などについてもいろいろと参考になる本なのではないかと思います(ついでですが、ひらがなが多く中学生でも抵抗なく読めるかも)。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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