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一読、なんとも無気味なのは、ところどころ織り込まれている現実の社会的事象の扱い方です。黄砂、天皇の跡継ぎ、ネット、新聞テレビなど、様々な現実が、しかし少しずつ現実よりも過剰に描かれていることによる無気味な読後感。特に2004年の発表作品で現首相を予言するかのごとき書きぶりが恐ろしい。 著者のつっこみ体質を現しているかのように、語り手が三人であり、それぞれが他人および自分自身につっこみをいれていくという錯綜した論理展開ですが、本筋を追っていけば、天皇への無関心を貫けないことと、映像や音に意味を与えてしまうことが、ともにこの国の避けがたい閉塞状況の元凶であるということになっているようです。それ自体は、現代思想でこの国を論じるときのある定型でもあります。古くは、日本=ポストモダンみたいな。そこで、天皇がいなくなる世界を想像し、自らがビデオカメラ自体となることを想像する。渡部直己『不敬文学論序説』(文庫版)の併読をおススメします。