ありそうで無かった、仮想ファンタジー世界近代戦の傑作
戦争を舞台にした英雄の叙事詩である。日本をモデルとしたような「皇国」とロシアをモデルとしたような「帝国」。
剣虎兵や導術、龍が登場するというファンタジー的要素を持つ世界で、
両国の近代戦が描かれている。
まるで日露戦争の様ではある。
中身は全く違うが、知らない人にはイメージしやすいであろう。
ファンタジーでは、とかく剣と魔法で完結していて中々近代戦を描く機会はない。
本作では、想像力豊かな著者が、得意の戦争知識を総動員して、
社会状況から火器、戦略、戦術を詳細に組み立てて描いたものである。
世界設定、登場人物、それぞれに魅力的であり、時々難しい言葉も出てくるが、
総じて分かりやすい文章だ。
9巻も出ているので、ほぼ完結だろうとたかをくくって全巻購入し、
一週間で読んだが、まだ「続く」かよっとびびった。
前半、1~4巻ぐらいまでは非常に良く出来たつくりで面白いのだが、
後半から少しずつおかしくなってきたように思う。
設定が少しずつ変ってきており、主人公の直衛もなんだかなぁ、
というキャラクターになりつつある。
純粋なイヤラシサが減り、歪曲したイヤラシサになってしまった。
途中まで読んでしまったので、続きを読みたい気もするが、
1巻を読み終わった時に感じた次の巻を読みたい誘惑は、もうない。
世界設定から、登場人物まで魅力はあるので、
戦争系のお話が好きな方は、お時間のあるときにぜひ読んでみてください。