エンデファンとして
「エンデと地域通貨と坂本龍一」の関係は何かと本を求めた。
単なる経済学、地域通貨、銀行を論ずる本ではない。ミヒャルエンデ(『モモ』、『はてしない物語』などの作者)が残した言葉(警告と言える)を通して、その哲学を今こそ多くの人々に伝えたいという危機感が漂う。資本主義の中で、生活も豊かになり、現行の経済システムに疑問を持たずに過してきた者(昨今の社会状況には歯車が狂ってきたかと思い始めているが)にとって、このシステムから生じた負の部分が問題提起され、その重さに改めて驚く(経済成長を追求するあまり、地球資源の危機感が生じた)。もっと別の人間味溢れる経済システムの可能性を示唆してくれる。
各章(分担執筆)で、本来のお金の意味、世界には銀行の融資先を選択できるエコバンクや無利子銀行、地域に還元する弱者救済のショアバンク等が存在することを知る。地域通貨は日本でも広がっている。各地での例が紹介されている。多重経済システムに未来の希望があるのかもしれない。
エンデファンはエンデの言葉をかみしめ考え、そうでない人も頭の切り替え、意識改革させられる一冊となるだろう。
ただし私のような経済に疎い者には一読では理解出来ない部分も多々ある。が、読み込むとためになり、エンデのメッセージを誠実に伝えている。
続・『エンデの遺言』として
『エンデの遺言』とともに読まれるべきであろう。同タイトルのテレビ番組をきっかけにして地域通貨が全国的に広まったことを考えると、続編に当たる本書が、番組放映後いかに日本に広まっていったのか、各地の事例を追跡取材した意義は大きい。また地域に根ざしたオルタナティブな金融システムへとさらに視野を広げることによって、お金や経済が、オーソドックスな経済学など街学的な議論とは無縁で、われわれの身近な生活と密接に関わっているものであり、またそうあるべきだということを著者たちは伝えている。
さらに、『エンデの遺言』で扱われた海外の地域通貨のその後やオルタナティブ銀行の草創期の長老たちへのインタビューなど、前著の追跡調査も行なわれている。
その点で、本書『エンデの警鐘』は、『エンデの遺言』で扱われたテーマや問題意識を継承しており、続『エンデの遺言』として読まれるべきで、併読を薦めたい。
坂本龍一の名前で本書を買うひとも多いと思うが、彼自身も地域通貨の実践者のひとりであり、そこから音楽家である彼の社会との関わり方を考えてみるのもよいかもしれない。