ひるがえって日本は?
昨今の原油価格高騰の原因は、色々と見解はあるようですが、中国そして(意外と知られてませんが)米国を中心とする需要増に供給が追いつかないのでは、という見通しの悪さが大いに一因になっているような気がします。単純に考えれば、(少なくとも中長期的には)価格が上がれば供給能力も上がるのでは? と思ってしまいますが、ここが石油のややこしいところ。主な産油国はナショナリズムを背景に外資に油田を開放しておらず、資金も技術も不足している状況ではなかなか油田開発は進みません。少し前までは価格高騰の要因として「地政学リスク」がもてはやされました。石油は政治抜きでは語れない「戦略商品」であることの構図は価格高騰の折、またクローズアップされてきています。本書はブッシュ(共和党)のエネルギー安全保障政策を批判したもの。米国のエネルギーに関して①輸入石油需要の増大②世界の危険地域にある不安定で非友好的な供給国へのシフト③産油国での反米暴力や内乱の危険の増大④供給をめぐる他国との競争の激化、について考察を加えています。著者の批判の論点は、石油を確保するために米国は積極的に軍事力を展開、その軍事力によって自国のエネルギー安全保障を確保しようとするが、その方法論がよけいに産油国の混乱を生みかえって石油供給を不安定なものにしている、というもの。
この論点はある程度の妥当性はあると思います(論拠となる数字も状況認識も正確)。ただ現政権はイラク戦争を見てもわかるように短期的に生じる混乱は経済的にも政治的にもいたし方のないコスト、と覚悟を決めているかのようにも見えます。何れにしろ、「血」を流してまで「油」を追い求める姿勢に、ほぼ100%を海外に頼る日本のエネルギー保全の見えにくい戦略ばかりが気になった一冊でした。