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国家論―日本社会をどう強化するか (NHKブックス)の商品レビュー 知の大河への案内人
国家という大きなテーマに対して、経済学、哲学、神学など様々な知の先達の理論を援用し、論じた講義をまとめた本。本文は約300ページであり、一般にもこれ以上ないくらい親切にわかりやすく書かれているが中身は非常に濃い。 愛郷心溢れる言説そして可能性
佐藤優は今もっとも優れた批評家である。分析官としての情報収集力と情報分析力は実務だけではなく批評の上でも一級のものだ。表面的な論理で終わっていないのは知の基礎体力というべきものが、宗教・哲学・政治・経済・文化など多岐に及んでいるからであろう。その広範な守備範囲のみならず深い洞察力ともいうべき読解力は、世界をあまねく見渡したであろう書物の読猟によっていわば狩猟者の獲物を捕まえる腕の良さにも比肩しうるものというべきものだ。単刀直入ともいうべき著者の歯切れの良さこそ真骨頂で、この点が机上の論理でしか筆を進められない輩と悉く異なる点であろう。さて、この本の重要な骨格として3つの書物がある。ひとつはマルクス「資本論」で、これは共産主義の立場から資本主義を徹底して解剖したものといえ、マルクスに関しマルクス読みのマルクス知らずが多い日本の知識人とは異なり、あくまで丹念に反証的(ポパー)に読み込み『国家ー社会』を浮き彫りにする。ふたつめはゲルナー「民族とナショナリズム」で、歴史的なアプローチをとりつつ『国家ー人』を論じているのだが、ゲルナーに関して言えば彼の意図なりを理解できるのは著者なみの幅広い知力が必要だろう。最後はバルト「ローマ書講解」でこれは宗教的な側面から『国家ー神』を論じているといえる(この当たりの見立ては著者の神学部出身の面目たるやといったところか)。つまり西洋の原理の底にあるキリスト教と国家を著者は論じているのだ。以上の3つの書物は佐藤優の論じるこの本を支える最重要なものであり、3つの本の解釈および論理こそが肝である。他にも宇野弘蔵や柄谷行人も取り上げているがそれは解釈の手助けとして引用されているといった位置づけである。国家を論じた本としては近年稀に見る出色な出来のものである。期待しているのは、著者のあとがきにもあるが原理的に異なるもう一方のアプローチ〜「古事記」「日本書紀」「愚管抄」「神皇正統記」などを基礎にしたもの〜による国家論をぜひ読んでみたい。逆説的だがマルクスが資本主義を異なる立場から見通すことができたように、本書はある程度向こう側の鏡で日本社会を垣間見たに過ぎないのだろう。しかし、日本社会を根底からラディカルに考えるのは、まだ書かれていないアプローチによる本でこそ試みることが可能ではないか、と本書の表紙を飾る写真(霞ヶ関界隈)を見ながらつらつら日本社会の見え隠れする原理を思い馳せる次第である。 夢ある国家論熟成のために
政治的意思形成・・・否定神学(啓示)的アプローチ
「自らが実際に確認したこと以外にも、何か抽象的・超越的なものを創り上げ、それを信頼する」と「当面の悩みは全部なくなる」。 インテリジェンスがインテリジェンスである所以
インテリジェンス(諜報)がインテリジェンス(知性)である所以が実によくわかる本である。 本の最新売り上げランキング - トップ10
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