ハードボイルド
文体とか、舞台とかは、『ららら科学の子(ほんとは学の字が違うけど』と近いし、村上春樹の『ダンスダンスダンス』とも似ているかもしれない(一人称で、主人公が人探しをしていて、その主人公は何らかの過去の思い出に囚われていて、で、ときどき人が死ぬ)。この世代の人はハードボイルドが好きなのかな。ちなみに村上春樹の初期の小説を「僕」という人称で語られるハードボイルドと言っていたのは、確か加藤典洋だったと思う。ま、そんなまとめ方をされても作者たちは迷惑かもしれないけど、そんなことも思った。 全体として、スリリングで面白い。気の利いた言い回しもたくさんあってよい。最後の場面とか、どきどきする。うん。傑作なのだと思う。ただ、この1980年代の小説を読みながら、小道具や風景描写に時代を感じてしまったり(携帯電話がないし、都庁が新宿ではない)する自分がいるのは残念だ。小説を読んでいて、時代を感じるということは決してマイナスポイントじゃないと思うのだけど、作中の舞台・時間があまりに自分の住んでいる場所、生きている時代と近いと、なんというか、熱海とかの近場に旅行に行って緊張感のない時間を過ごしているのと近い感情を覚える(そういえば、熱海にいっても、10年くらい時代をタイムスリップした錯覚に陥る、もちろん10年前)。文章に緊張感が漲っているだけに、そのギャップが残念。しかしこれは当然作者の責任ではない。
沢崎に惚れる。
推理小説好きな人には、是非一度手にとっていただきたい作品。
文章に独特の理屈っぽさがただよう。
まず、それを心地良いと感じるか、不快に感じるかが、
この沢崎シリーズを好きになるかどうかの、基準になると思う。
「そして夜は甦る」は、探偵沢崎シリーズの第一作目。
推定独身、東京都在住、すすけた中年探偵・・・・
彼のルックスについては、ほとんど明らかにされていない。
しかし、彼がくゆらせているであろう煙草の香りを、
私は確かに感じた。
彼に惚れてしまった。もし、現実に彼が居たら、
哀愁を帯びたその背中を、いつまでも追っかけてしまうで
あろう。物語は、緻密で、理論立てて構成されている。
読み終わった後、妙に理屈っぽくなり、恋人と大喧嘩
をした経験が有る。
それでも、読むのを止められなかった。
次の作品も、そして次の作品も、読み応え有り。
まず、この作品からどうぞ。