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私が殺した少女 (ハヤカワ文庫JA)

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私が殺した少女 (ハヤカワ文庫JA)の商品レビュー

5.0 探偵も推理小説も因果なものだ!
あまり書くと、これから読む方は面白くなくなるので簡単に。最終的には人間の悲しさ、葛藤が感じた。それを克服するために、結果的に犯罪となってしまった。探偵も読者も作者も私も、推理小説に係わる者は因果なものだなっと思ってしまった。いまだに余韻が残っている。やはりいい作品なのだろう。
4.0 マーロウにこの沢崎が追いついているとはとても思えない
1989年10月、早川書房よりリリース。著者の第2作にあたり、直木賞受賞作、しかも著者の自筆サイン入り(僕はサインにとても弱い)を手に入れたので相当期待して読んだ。

著者がよく言われるレイモンド・チャンドラーを意識しての文体については、チャンドラーの『長いお別れ』あたりのマーロウにこの沢崎が追いついているとはとても思えなかった。和訳後ですら訥々と湧き出るチャンドラーの輝く文章に比べ、筆者の文章は確かに読みやすく具体的だとは思うが、そこまでの輝きは僕にはなかった。そしてストーリーの結末にまったく意外性を感じなかった。

おそらくミステリー漬けになっていてちょっとやそっとでは驚かなくなっているからでは無いだろう。むしろあとがきの客観的な原寮の書き方にものすごく感心した。これはかなりかっこいい。エラリー・クイーンの『十日間の不思議』のような強烈な結末に日本人の作家で出会うことはないのかなぁ、と若干寂しかった。
5.0 ハードボイルドの雰囲気だけで無くミステリーとしても秀逸
新宿の片隅で探偵事務所を営む沢崎を主人公としたハードボイルド
作品。誘拐事件に巻き込まれた沢崎が、野良犬のように調査を進め
て行く。

全編にわたって、やや癖のある、独特のペーソスを持った文章で
埋め尽くされている。読んでいて少し疲れてしまう気がした。
これは主人公・沢崎の性格と言うより、作者の性格が出ているの
ではないだろうか。
解説をおかず、短編小説によって代わりとしているあたりにも、
作者のこだわりが感じられる。

この作品が優れているのは、ハードボイルドの雰囲気だけでは無く、
ミステリーとしても骨格がしっかりしている事だと思う。
ただ、この犯人は動きすぎと言うか、策を弄しすぎているようで、
読み進めて行く内になんとなく想像がついてしまうのだが。
さて、読者が最後に目にする結末とは?
ぜひご自分で確かめてみて下さい。
4.0 主人公の描写がもっと欲しい。
この夏休み、思いっきり面白いミステリーを読もうとして手にした一冊である。最初から引き込まれ、一気に読み終えた。読後感は何となくすっきりしない。最初は「これは面白い!」と思った。中盤辺りも結構面白いと思った。でも最後の数10ページのオチは頂けない。ここまでひねくり回さなくても、この小説は面白いのに。返ってオチを付けてために、作品が貧弱になってしまった。これでも直木賞か。
 さらに人物の描写が今一で、物語の展開のわりに、個々の人物像がはっきりしない。第一主人公沢崎の人物があまり書かれていないし、身の回りの人間関係も書かれていない。その辺が書かれていれば、物語の基礎がしっかりしたのに。さらに主人公がもっと個性的で魅力ある人物として描かれていたら、良かったのにと思った。
5.0 拾った宝くじが当たったような不運
直木賞受賞作。
タイトルからして鮮烈である。
残念なことに、登場人物はあまり魅力的ではなく、
前作「そして夜は甦る」のカギとなる諏訪雅之のような、
原りょう作品の色と匂いを全身に纏った男は登場しない。

だがそんなマイナスポイントをカバーしてなお、
釣りがくるほどに展開が良い。謎の設定が良い。幕切れが良い。
何より沢崎が良い。

誘拐事件の概念を覆すというより裏返す設定が破綻なく活かされており、
振り回され苦悩する沢崎の姿が声を殺した悲鳴のように描かれている。
渡辺との白日夢のような再会も映画のラストシーンにも似たエンディングへと
見事に繋がっていく。
そう、「そして夜は甦る」の場合もそうだったが、
作家の力量が最も問われる最後の数ページがこの作家は本当に巧い。
名作と呼ばれる映画の幕切れのように、その余韻を思わず誰かと共有したくなる。

原りょうが寡作なのが残念でならない。
既発表作をすぐにも読み尽くしてしまいそうで、それが何よりも惜しい。

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