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さらば長き眠り (ハヤカワ文庫JA)

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さらば長き眠り (ハヤカワ文庫JA)の商品レビュー

5.0 タイトルの意味がよく伝わった!
ストリー展開の心地よさ、渡辺・錦織・橋爪との無遠慮な係わりが秀逸なのは勿論のこと、単なる推理小説を超えた壮大な人間観をモチーフにしていると感じた。そういう意味からもシリーズではイチオシしたい。まさしく「長い」→「眠り」→「さらば」を、そのまま語り尽くしている。 
5.0 純正ハードボイルド
この歯切れの良い、短い文章で長編を、それもシリーズで書き続けることは確かに膨大な時間がかかる作業なのだろう。
探偵沢崎の物語に饒舌な語りは似合わないのだ。しかし、依頼人を見つけるまでに約三分の一のページ数を費やすのはどうなのだろう。それからやっと本格的に捜査を開始するのだから、本当ならもっとページ数が増えそうなものだが。結構長いのにも関わらず、余計なものをそぎ落とした小説と言える。例えば行きずりの美女とかが出てこないし。ま、読者に待たせた分ちょっとしたファンサービスのようなものはあるのだけど、そのぐらいは目をつぶって。

確かにオチはリアリティを損なっているかもしれないが・・・やっぱりこういう作品は男のロマンが如何に描けているかが最優先であり、他はまあそこそこ書けてれば良いんじゃないか?
沢崎も錦織も意外と橋爪も品があるしね。
2.0 言ってみればオールキャストのスペシャルドラマ
いうまでもなく、私立探偵・沢崎シリーズの第四弾。
沢崎ファンだったので期待に胸ふくらませて読んだのですが、
正直私にはちょっと…

嫌味なくらい格好いい「沢崎節」は健在だし、
緻密な背景描写も相変わらずなのですが、
いかんせん、話のからくりをひねりすぎ。
意外性をつこうとするあまりか、
前の3作に比べると”フィクション”と”リアリティ”のバランスがくずれています。

沢崎のキャラ設定を含め、
「絶対無いに決まってるけどひょっとしたら有り得るかも?」っていう、
スレスレのフィクション度合いが、このシリーズの魅力だったのに…。

ただ、全作に出てきた”気になるあの人”たちが、
ぞろぞろ出てくるのはおもしろい。
言ってみれば、内輪受けしかしないオールキャストのオマケ的スペシャルドラマ、かな。
当然ですが、原さんの作品をいきなりこれから読み始めるのは絶対やめたほうがいいです!

でも、沢崎は相変わらず好き。次作を早く読みたい!


5.0 研ぎ澄まされた文章

400日振りに西新宿に戻った私立探偵・沢崎は、浮浪者から依頼人が探していた事を聞かされる。
11年前の自殺の真相を探る依頼だが、周辺で次々トラブルが起こっていく。
そして、遂には沢崎自身にも絶対絶命の危機が・・・シリーズ第4作。

この作者は、実に良く文章を推敲することで知られる。
沢崎を主人公とした、長編としては3作目の本作も、実に5年もの間推敲が重ねられた。
次回作はなんと10年推敲することになるのだが・・

作品と作品の発表のあいだに、間断なく推敲を重ねていたのかどうかは知らないが、そうだと言われても驚かない、それほど密度の高い文章だと思う。
どのページでも良い。テイストを損なわずに、より短い文章に出来るか、一度トライしてみる事をお勧めする。
いかに考え抜かれた筋肉質の文章かわかる。

ミステリーとしても十分面白いし、どんでん返しも効いている。ハードボイルドの探偵物として、正に王道の作品でもある。
文庫版だけに加えられた「後書き」だけでも短編1作の価値がある。

しかし、本作の価値はそれだけではない。
文章そのものを楽しむ喜びを感じて頂きたい。
それこそが、読者が、5年も、10年も沢崎を待ち続ける大きな理由のひとつだから。
5.0 ふたたび「長き眠り」
1996このミス 5位
95年文春ベスト10 3位

「そして夜は蘇る」「私が殺した少女」「天使達の探偵」に続く、私立探偵・沢崎シリーズの第四弾。

およそ400日ぶりに東京に戻った沢崎は、11年前の夏の甲子園大会準決勝での八百長の疑惑から姉が自殺した魚住の依頼を受け、自殺の真相を追うこととなる。世界を代表するハードボイルド作家、レイモンド・チャンドラーをこよなく愛し、その文体にも影響をうける作者であるから、本作品のタイトルも、チャンドラーの代表作「長いお別れ」と「大いなる眠り」からとられたのであろう。本作も前3作に違わぬできで、決して期待を裏切らない。作者の作品の魅力は、もちろん私立探偵・沢崎の魅力と、そのチャンドラーへのオマージュである単文を主体とした文体からくるなんともいえぬ読後感であるが、もう一つ付け加えるとすれば、ミステリーとしての骨組みもしっかりしているところであろう。

各作品の最後で、遅筆をわびている作者であるが、本作も全作から5年をへて発行された。1995年の本作品発表後、ふたたび「長き眠り」に入ってしまったが沢崎シリーズの第二期のスタートが待ち遠しい。

なお、文庫版の巻末には、「死の淵より」という短編が、あとがきにかえて添えられており、作品の最後に「それは新たな事件の始まりだった。」と結ばれている。期待して次回作を待つとしよう。

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