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マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)

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マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)の商品レビュー

5.0 超ディープなSF、そして間違いなく名作
主人公は少女と喋る鼠、最大の山場はカジノでのブラックジャック。これだけ見ると軽めのファンタジー小説みたいですが、超ディープなSF、そして間違いなく名作です。

刊行当時はともかく今2009年に読むと、モチーフとしては古臭いわけです。虐待を受け続けた少女、何にでも変身できる喋る鼠、良心的なマッドサイエンティスト、カードギャンブルの攻防、重力操作出来るラスボス。それぞれのモチーフをパーツ化すると陳腐になってしまう。でもそれらのパーツが組み合わさり、文体、物語とギリッギリのバランスを取ることで、非常に疾走感のある良作になっています。
特に山場であるブラックジャック・シーンは、作者自身が自画自賛していたように秀逸。幾つもの複線が混ざり合い最後に交差する計算された構成は本当に感動的で、マジで2回泣きました。
通勤時に読んでいたのですが、「会社になんて行かないでこのまま続き読んでいたい」と思うほどグイグイ引き込まれました。

本作品はアニメ化の企画があり、結果的に製作中止になったそうですが、映像化は無理だと思います。活字であるからこそこの構成が出来た、ここまで力が発揮できたのではないでしょうか。
5.0 人間賛歌を、より激しい呼吸で読ませる小説
SFテイストに慣れていなかったり、社会の暗黒面をのぞきたくない方には読みづらいかもしれない
1巻目を乗り越えて、ぜひ、2巻後半までたどり着いて欲しい。

カジノシーンに詰め込まれた作者の猛々しい生気は、
あなたを興奮と待望感に沸き立たせるかもしれない。
恐ろしいほどに読みごたえある物語です。

静謐な空気感や、爆圧に襲われるまでのジリジリとした緊迫感を楽しめる作品なので、
寝静まった夜に全3巻一気読みすることをオススメします。
5.0 SFXばりばりのアクション映画かアニメか・・・
賭博師シェルに飼われていた少女娼婦バロットは、シェルの享楽のために爆殺される。間一髪、彼女を助けたのは事件屋ドクターとウフコックの凸凹コンビ。瀕死の重傷を負った彼女は高度な電子的な干渉能力を身につけ蘇生させられる。シェルとその背後にある組織は、かつてウフコックとコンビを組んだこともある事件屋ボイルドにバロットの抹殺を依頼する・・・。
社会の階層化が進み一部の特権階級と大企業が支配する未来社会。悲惨な戦争は、社会に傷跡を残し、一方で移植技術や超能力的な身体能力をもたせる肉体改造技術を奇形的に発展させていた。
ビビットな描写とスピーディーな展開はいかにも映像時代の作品。やや文章がこなれていないのと、時折悪趣味なまでの描写を見せる場面は気になったが、アイディア満載のストーリーと登場人物の造形は魅力。
暗い生い立ちを抱えミステリアスでセクシーなバロットもさることながら、出色なのはネズミ型兵器ウフコックだ。通常は黄金色のネズミの形をしているが、自由に形態を変化でき、バロットの装身具やコスチューム、様々な兵器にまで姿を変える。
後半、バロット達を追ってきた暗殺者達(奇怪な移植を施した身体を持つ変質者)とバロット&ウフコックコンビの壮絶な戦いがすさまじい。
マトリックス、攻殻機動隊、寄生獣、Xメン、ウルトラバイオレットあたりが連想作品。
3.0 【物語の既視感】
 カジノシーンは多くの方が指摘されている通りに興奮します。以下に並んだ書評を読んで本書(三部作)を手にとった者からすれば期待通りのパフォーマンスでした。偉そうですが。
 
「物語の既視感」とはよく言ったもので、著名な批評家がその当時の売れっ子作家を指して評した用語です。「物語の既視感」とは「過去にいつかどこかで見たことのある話だ」という意味です。当時も今も変わらぬ売れっ子作家へと向けられたこの評価は、現在の文学(?)とりわけ、数多くのライトノベルについても当てはまるように思います。
 
戦闘系美少女の代名詞である「綾波レイ」を主人公に見立て「SPAWN」の世界観を拝借した作品。『マルドゥック・スクランブル』三部作に対する私の中での「物語の既視感」は概ねこのようなものです。
 
作者と年齢が近いからでしょうか。小説に完全なるオリジナル性を求めることが酷であることは承知しております。しかし、作品上の「物語出自」を見過ごすには、少々それらは露骨過ぎました。
「たしかどこで見たり、聞いたり、読んだりしたことのある」作品、この「Well made」な物語性こそ、安定した「マルドゥック〜」の人気を支えているのかもしれません。「良質な職業作家」の誕生は、いつの時代も歓迎されるものですから。
5.0 戦うということ、生きるということ
主人公ルーン・バロットは、一巻終盤でこういう。『Now Here(ここにいる)』と。
著者が脚本その他を担当した、ロボットアニメ『蒼穹のファフナー』でも同種の描写がある。

冲方 丁にとって、『生きる』ということは存在をアピールすることであり、それ即ち価値観を持つことで、それはいずれ『戦う』ことに発展する。
『戦う』のは何も力をぶつけ合う事ではない。
意見を交わすことも、知略をめぐらせる事も、言ってみれば、生きることはそれ自体が戦いだ。
こういう主張が強く渦巻いている。

これは戦いの物語。戦って、感じて、学んで、成長する物語。
虚ろだった少女が、ラストでは立派でかっこいい女性になってるではないか。
それが何より印象的で、緻密な描写もすべてそこに収束する。
その世界、ぜひ一読あれ。

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