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火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)の商品レビュー 人間の宿命を叙情的に描きあげた傑作SF
人間は決して完成品ではない。大昔にできた旧式の本能を用いて未来という未知の世界を生きていかなくてはならいのだ。人間の宿命をSFという形で語る本書は、そのリリシズムあふれる文体と鮮烈なラストシーンとによって、今後も長く語り継がれることになるだろう。 示唆に富んだ作品
高校生の頃、定石どおりに有名なSFだけを読み、それでこの手の本を卒業した私だが、この作品だけは手元に置いてある。一つ一つの話が示唆に富み、考えさせられる。特に、せっかく移住してきた人々が、地球で核戦争が始まったと聞いて我先にと帰っていくのが面白い。その後の、だれもいなくなった家で、機械だけが同じように時を告げ、食事をつくり、それを下げ、また翌日も同じことが延々と繰り返される話には、まいった。全員が引き上げられたのではなく、男女1名ずつが残され、最初はあちこちに電話をかけてはお互いに会おうと試みるが、会ってみて幻滅し、その後は会わないように逃げ回るという話も、なかなかだ。 心に染みる警世の書。
本書のテーマを一言で言えば、《科学の発達による、人間の精神的荒廃への警告》という所だろう。若い頃は古臭い作品だと思っていたのだが、今読むと、ブラッドベリの警告の正しさに、思わず慄然としてしまう。20世紀の後半ぐらいから、私たちが忘れてしまった大切な《何か》が、ぎっしりと詰まった作品である。単なるノスタルジーでは終わらない、21世紀を越えた今だからこそ、広く読まれるべき、あまりにも重要な名著だと思います。 珠玉の短編集
人類は火星に移民します 故郷に帰ろう
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