欧米人ならではの考え?
まずはじめに本書を読んだのは数年前なので詳細な所までは回想できず、また僅かな記憶の誤差欠落があるかもしれませんが、ご了承を。まずタイトルで76日と書かれているが、やはりこの日数の長さは数多くのノンフィクションサバイバル本の中でも稀に見る長期間であろう。その要因は様様だが一番重要なのが大西洋という虚無な大海洋だった事が原因だ。予め世界には巨大タンカー等が頻繁に通過する目に見えない航路というのが幾つか存在するようだがそれも限りがあり、逃すと全く人気が無くなるのである。本書もそれについて触れられており、著者もそれを頭に入れてさ迷っていたらしいが、この状況においてそのような航路まで視野に入れているのは相当なものだ。
また、特に記憶に残っているのが著者(つまり遭難者)が色々な知恵を搾って生きるための術を編み出すのだ。多数読んだサバイバル本の中でも頭一つ抜きん出た術のバリエーションの多さだった。状態が悪くても色々編み出す思考が出てくるのは欧米人ならではなのかもしれない。同時に、本書の全体的なカラーは題材が漂流という絶望的テーマにも関わらず、殆どそのような暗さを感じないのだ。多くのこの手の書物は大抵ダークな色が漂う。挿入されている漂流地図や数々の地点毎のイベントが記されているが、こういう部分からも漂流本というより冒険記とも見間違えかねない雰囲気まであった。これも日本人には無いカラーであった。
また、海洋に漂うシイラ等も単なる食用という発想では無く、どういう訳か慈しむ対象にまで転化してしまうのである。或いは船を囲う海豚達とも会話を交わしているかのような雰囲気まで醸し出す。この状況においては考えられない感情だ。こう思うのは私だけだろうか?おそらく日本人と欧米人。或いは無宗教とクリスチャンを中心とする信仰人との違いなのだろうか?とまで想像が膨らんだ。