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プレーグ・コートの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-4)

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プレーグ・コートの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-4)の商品レビュー

5.0 サービスてんこ盛りのミステリー
本書はディクスン・カーの別名義であるカーター・ディクスン第2作にしてH・M卿初登場作品で、密室殺人、顔のない死体、一人二役、オカルティズム...と、詰め込めるものをすべて詰め込んだ、サービス精神に溢れた作品である。

幽霊屋敷として知られるプレーグ・コートの石室で交霊術師が殺される。しかし、石室は内と外の両方から頑丈に施錠され、しかも周囲は泥の海と化した中、犯人と思しき足跡はどこにも見当たらないという二重の密室殺人であった、というのが本書のメインで、その後、交霊術師の弟子も炉の中で焼き殺される。
縦横に伏線が張り巡らされた全体の構成は複雑だが、これらの伏線を手がかりにして真相を論理的に解き明かすH・M卿の手腕は実に見事で、密室トリックも鮮やかである。

なお、本書は横溝正史に影響を与え、後に『本陣殺人事件』を執筆させることになるが、おそらくクリスティーにも影響を与えたのだろう。クリスティー唯一の密室長編『ポアロのクリスマス』が、現場が血の海であったこととその理由、登場人物がその惨状を目にしたときにつぶやく「こんな老人にこれほどの血があったとはね」という『マクベス』からの引用など、本書の密室殺人と状況がそっくりである。

それと、カーター・ディクスンという名義は、前作『弓弦城殺人事件』から『赤後家の殺人』までは執筆当時カー・ディクスン名義であったものが、その後カーター・ディクスン名義に改められたものである。
5.0 カーター・ディクスンなら、これがお勧め
ディクスン・カーをひっくり返したようなカーの別名義による第2作にして、ヘンリ・メリヴェール卿初登場作品。ディクスン名義作品なら本書が最高傑作だろう。

周囲に足跡一つない頑丈に内外から施錠された石室内で起こった、博物館から盗まれた短剣による刺殺事件。完全密室と血みどろの室内は、かの密室トリックの名作、ルルーの「黄色い部屋の謎」を髣髴とさせる一方、霊媒や黒死病伝説に彩られた作品全体に漂うオカルティズムは、まさしくカーの真骨頂を示している。

密室トリックと謎解きも鮮やかで、横溝正史が本書に刺激を受けて「本陣殺人事件」を執筆したというのも、大いにうなずける。
3.0 カー初体験ということで期待し過ぎたのかもしれませんが…
今一つのめり込めないまま終わってしまい、不完全燃焼気味でした。
個人的にはミステリーにはどうしても『例え犯人が薄々分かってもいいから、引き込む様なサスペンス感覚やどんでん返し』を期待してしまうので…。
訳もかなり分かり難いので、せめて事件現場の図解でも付けてくれてたら、また違った感想になったと思うんですが…。
残念です。
4.0 オカルト趣味と不可能犯罪との絶妙なバランス
H.M.卿の初登場作。カーの特徴と言えば、(1)密室を中心とする不可能犯罪、(2)オカルティズム、(3)ファースの3つである。本作は、このうち(1)と(2)とが絶妙なバランスを保っている。

カーはサービス精神の余り、冒頭でトビッキリの不可能犯罪を持ち出すが、結局は竜頭蛇尾に終ってしまうことも多い。しかし、本作は"霊能力者が密室で殺される"という上記の(1)と(2)を合わせた謎を提出しておいて、しかも合理的に解決している(オカルティズムは全篇に溢れている)。このトリックは、いわゆる"トリックの教科書"に載っている程有名なものになった。

もう一つは犯人像である。勿論、犯人は誰かという点も問題なのだが、作者はそこにもう一つ捻りを加えているのだ。

カーの密室趣味とオカルティズムが見事に融合し、しかも犯人に関する謎も加えられているという代表的傑作。
5.0 ヘンリー・メリヴェール卿初登場作品
フェル博士と共にカーが創造した名探偵H・M卿が活躍するシリーズの第1作目です。

プレーグ・コートという館の石室に籠った降霊術師が何者かによって殺されますが、辺りには足跡一つ残っておらず石室の扉も鍵が掛かっていて密室状態だったというお話です。

カーといえば密室ですが、本作でも誰が事件に関係しているかはぼんやりと予想がついても、どうやってやったのかが分からなければ解決になりません。
しかも本作は密室トリックの他にももう一ひねり加えており事件を込み入らせています。
また、カーのもう一つの特徴であるオカルティズムもきちんと作品と結びついており浮いた感じがしません。

本作はカーの特徴が上手くマッチしたバランスのとれた好編だといえるでしょう。

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