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はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫)の商品レビュー

4.0 題名に込めた作者の自信
ブランド女史の代表作とされている。「されている」と消極的な書き方をしたのは世評程は出来が良くないと思っているからである。女史は本格ミステリを書かせたら、むしろ先輩クリスティより上(クリスティの場合、破格の作品が傑作になっている)で、人物の描写、伏線の張り方、全体の構成、謎の提出とそれに対するトリッキーな解決と全て一流である。本作は「はなれわざ」と題名を付けた事からも自信作なのだろう。500ページを越す長編において、犯人の的を絞らせず、読者を引っ張って行く手腕が見事。ただし、それは伏線の張り方が足りないせいで、構成は賛否が分かれるところであろう。私は途中で犯人が分かってしまったので、結末の衝撃はなかったが、「はなれわざ」という程トリッキーな作品とは思えなかった。
4.0 力技の「はなれわざ」
 コックリル警部は休暇を過ごすため、ツアーに参加した。その場所はサン・ホアン・エルピラータ島。そして、その場所で殺人事件は始まる。

 世評が高く、期待して読んだのですが、辛口で言うと、このトリック、実現可能か? という疑問があります。ですが、読書中はその描写に圧倒され、力技で納得させられます。

 相変わらずのころころ変わる容疑者、そして、そのつど登場人物への見方までかわり、翻弄されっぱなしのストーリー展開はやはり健在。
5.0 クリスチアナ・ブランド渾身の「はなれわざ」!
これは、クリスチアナ・ブランド渾身の「はなれわざ」だ。「ミステリ史上に輝く大胆なトリック」のキャッチ・コピーも、あながち大袈裟なものとは言い切れない。

この作品は、容疑者全員に殺害の動機があるものの、それと同時に、その全員に殺害機会がないという、典型的な「不可能犯罪物」である。
501ページと、かなり長い作品であり、しかも、読み進めていくにしたがって、事件の真相が少しずつ解き明かされていくというよりは、格別、捜査らしい捜査も行われず、中盤過ぎまで、一向に事態の進展が見られない展開に、多少のもどかしさ、じれったさを感じる面なきにしもあらずなのだが、ブランドの簡潔で無駄のない文体が、冗長に陥るのを救っており、後半に次々と明かされていく意外な事実とどんでん返しの連続、やや強引ながらもブランド渾身のあっと驚く「はなれわざ」には、そんな多少の不満を補って余りあるものがあるのだ。

ちなみに、ブランドは、1930年代にアガサ・クリスティーらが築き上げた本格派ミステリ黄金時代の次世代の中でも、「最も黄金時代直系の血を継ぐ正統的な継承者」と評されているようなのだが、この作品での筆致や凝ったプロット、騙しのテクニックを見る限り、同国の偉大な先輩、アガサ・クリスティーを彷彿とさせるものがあり、そうした評価もさもありなんと思わせる。「もう一冊、読んでみたい」、そんな気にさせる作家だ。

5.0 緻密に裏打ちされた ”大胆不敵 ”
 クリスティの『そして誰もいなくなった』やクイーン『Xの悲劇』といった諸作に比べるとあまり一般的に有名な作品ではありませんが、単に才人ブランドの代表作というだけでなく、ミステリ史に残るパスラーの傑作だと思います。

 不可能状況下でうら若き乙女はいかに殺されたか?という謎の設定とその意外な真相といったパスラーの要素もお見事ですが、ストーリーが進むに従って、関係者の一癖も二癖もある人間像が明らかになっていくあたりは圧巻で、プランドの小説家としての技巧が冴えわたっています。

 実をいえばトリック自体は使い古された古典的なパターンなのです。しかし、真相に到達できる読者はきわめて少ないにちがいありません。それは、あまりに「大胆に」で「はなれわざ」なトリックが、細心の注意が払われて使用されているからです。私自身、ブランドが仕掛けた罠のあまりの大胆不敵さに「そんなのありか?・・・」と思ったのですが、、プランドが設定した登場人物、舞台設定を考えれば考えるほど、「なるほど、こういう状況ならば十分ありうる」と納得してしまいました。ようするにトリックに使い方が抜群に上手いのです。そうした意味で「はなれわざ」が炸裂する真相はもちろん、その真相を成立するためにいかに作者が神経を使っているかを鑑賞していただきたい一品です。

4.0 「はなれわざ」とは
 英国きっての技巧派クリスチアナ・ブランドの代表作。
 ポケミスで発表後、長らく絶版だったのが待望の復刊です。
 休暇中のツアーに参加している探偵役のコックリル警部が、予想外の殺人に巻き込まれます。
 被害者は部屋で殺害されているものの、その時間には、容疑者は全員ビーチにいて、警部の監視下にありました。

 犯人はどうやって犯行を成し遂げたのか?
 真相は単純明快で、本格謎解きミステリの醍醐味を味わえます。
 ただし『ジェゼベルの死』などと比べて、真相があばかれるシーンの盛り上がりに少々欠ける気がしました(星をひとつ引いてるのはそのせいです)。

 個人的には、真相そのものよりも「真相をあからさまに読者の眼前にさらしておきながら気づかせない」という職人技に唸ってしまいました。
 これぞまさにブランドの『はなれわざ』と言えましょう。

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