ドラマチックな初期作
初期作なので、イマイチかと思っていましたが、
決してそんなことはありませんでした!
登場人物のうち誰が犯人なのか、何がどうなっているのか。と、
話が時々前後しますが、そこで混乱しなければ、最後に迎える
言い尽くせぬ感動を味わうことが出来るでしょう。
それと、パリ警察のジロー警部が今回のポアロのライバルとして登場します。
なかなか優秀ではあるのですが、自信過剰なところがいただけない!
こいつに、我らがポアロを小ばかにされて苛立った読者も多いのではないでしょうか?
あと、ヘイスティングズの恋の行方も見物です☆ それに、この話は色々と複雑にからみ合い、そしてそれがかなり
「絵」になる情景が盛り沢山なので、
映像化を自然と彷彿させられる事件でした。
なんといっても、登場する人物の中で、女性はかなりの美人が多い!
それだけでも映像化は楽しみでしょうが、
事件の真相を明らかにするときに、映像を用いるとさらに理解と
感情移入が高まるのではないかと思うのです。
この作品は特にね。
そして、あと書きにはイギリス製作のポアロのドラマの
日本語吹き替えをなさっている方のものです
私の意した通り、この作品はいいようなのでより感動が深まりました。
是非、ドラマも見たい!と、思わされる作品です。
見どころ満載、クリスティー初期の傑作
この作品は、予想以上に面白かった。何よりも、最後まで一気に読ませてしまうエッセンスに溢れている。ある日、ポアロのもとに、フランスに滞在する大富豪から一通の手紙が届く。「私の生命の危険が切迫しているので、至急、援助に来てほしい」というのだ。早速、駆け付けたポアロだったが、時すでに遅く、大富豪はマスクをした二人の男に襲われ、殺された後だった。ポアロは、地元パリ警察の名刑事として名高いジローとともに捜査に入るのだが、この二人、自尊心が強く、自己満足に浸る性格が共通した似た者同士であり、それにもかかわらずというか、それだからこそというべきか、「そんな相手が許せない」とばかりに、お互いの捜査方法(近代的な物的証拠重視のジローと、昔ながらの心理的手掛かり重視のポアロ)を嫌味と皮肉を込めて批判し合いながら、意地とプライドを賭けて張り合うさまが前半のハイライト。「ポアロが唯一無二の偉大な探偵」という設定の他のポアロ物では味わえない面白さがある。
後半は、「これでもか、これでもか」とばかりに、薄皮を一枚ずつ剥いでいくように明らかにされていく登場人物の意外な繋がりと事件の真相を、複雑かつ緻密に組み合わせたプロットが鮮やかだ。おまけに、あのヘイスティングズが大恋愛に陥り、挙句の果て、血迷った大失態まで演じてくれるのが、何とも微笑ましい。名作には不可欠の、あっと驚くどんでん返しも、しっかり用意されており、見どころ満載、クリスティー初期の傑作と評したい。