冒険とミステリがハイレベルで融合した、シリーズ中のベスト作
この「秘密機関」は、トミーとタペンスの冒険ミステリシリーズの記念すべき第一作であるとともに、冒険とミステリがハイレベルで融合した完成度の高さという点において、シリーズ中のベストに位置する作品である(ちなみに、エンターテイメント性では、「NかMか」がベストだ)。冒険ミステリというと、本格派ミステリ志向の諸氏からの評価は、どうしても低くなりがちなのだろうが、この作品は、ミステリの要素にも不足するところはなく、しっかりとしたミステリの土台のうえに、さらに冒険のスリルまでが上乗せされた傑作と、高く評価したい。
第一次世界大戦のさなか、ドイツ潜水艦の魚雷を受けて沈没直前のルシタニア号の船内で、若い女性ジェーン・フィンは、ある男に連合軍の機密文書を託されるが、その後、彼女の足取りは、ぷっつりと途絶える。
時は移り、大戦は終結するが、その機密文書は、新しい戦争を引き起こす武器として、敵方に利用されようとしている。ひょんなことから再会した失業中のトミーとタペンスは、「青年冒険家商会」を立ち上げ、英国情報部の依頼を受け、ジェーン・フィンと機密文書を捜し出す冒険に乗り出すのだが、彼らの前には、正体不明の敵方の黒幕、ブラウン氏の魔手が忍び寄る…。
息もつかせぬ冒険活劇
次々と切り替わる場面。トミーとタペンスの主人公2人にふりかかる難題・ピンチ。誰が味方で、誰が敵なのかわからない不安。2人は、知恵と行動力で切り抜けていく。
いったい次はどうなる?という思いでページをめくり続け、読み終わった作品だった。今後、2人が登場する作品は読破してみようと思う。とにかく、面白い本が読みたい人におすすめの冒険活劇。