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ゼロ時間へ (クリスティ文庫)

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ゼロ時間へ (クリスティ文庫)の商品レビュー

4.0 面白いけど、そんなに斬新かなぁ?
冒頭に殺人事件が起き、その後に探偵が登場して謎を解決するという通常のミステリー作品のスタイルに対し、本書は殺人事件が起きる瞬間の「ゼロ時間」に向かうという作品で、今でこそ別に珍しくも何ともない手法だが、当時としては斬新だったようだ。
また、冒頭で殺人の瞬間=「ゼロ時間」に向かって行くと記していること自体が読者を「わな」にかけているわけで、これも当時としては新しい手法だったかも知れない。
いや、現代においても作者と犯人が仕掛けた「ゼロ時間」の謎は、本書の探偵役であるバトル警視に謎解きをされるまで決して読み解かれることはないだろう。

ただ、犯人の狙いとする「ゼロ時間」の殺人というのは、既にディクスン・カーによって本書の9年前にカーター・ディクスン名義の作品『赤後家の殺人』で試みられている。カーはそれを標榜していないだけのことで、そう考えると本書の構成は別に斬新という程のものではない。
そうして本書と『赤後家〜』とを比べると、トリックや謎解きの論理などは圧倒的に『赤後家〜』の方が優れている。逆に本書の方が優れているのは、シンプルゆえの読みやすさ、わかりやすさ、面白さであり、『赤後家〜』は読みにくくわかりにくい。要するに悪筆だが不可能トリックや謎解きの論理にこだわるカーに対して、ストーリー・テラーのクリスティーという、各々の長所と短所が見事に浮き彫りにされる両作品なのである。

江戸川乱歩は本書を作者ベスト8に挙げているが、その一方で『赤後家〜』を「カー作品中一流のもの」と評しているのは、両作品の類似性とそれぞれの長所と短所の対比の面白さに気づいていたからなのかも知れない。

なお、本書の探偵役のバトル警視は、これまでにも『チムニーズ館の秘密』や『七つの時計』、『ひらいたトランプ』などそれぞれ持ち味の違う傑作・佳作に登場し、その中で有能と評されながらも一度も主役を張ることはできなかったが、『ひらいたトランプ』でポアロと共演したためか、本書では少しポアロのことを思い出しながら冴えた推理を披露している。
5.0 「ときに真実は表面上の事ではわからない」という人間社会を描いた傑作
これも意外な犯人に驚きました。私は犯人を逃がしました^^?カバーの古いエレベーターの写真が「ゼロ時間」に向かっての第一の事件の兆しにもなっていい効果になっている。最後の急転直下の展開に驚く。怪しい人が次々出てくる訳ありの人間模様の中で出てくる表面とは全く逆の人間関係に「実社会で、怖いけどありうるなー」という思えるだけに傑作だと思う。落とし穴のような終盤の急転直下の展開が実に素晴らしい。そして意外なハッピーエンドは他の作品にはない清々(すがすが)しい読後感を与えてくれる。
4.0 事件の見させ方が巧み
クリスティ独特の設定作りの巧さで読者を唸らせる秀作。普通ミステリは冒頭で殺人事件が起こり、そこから犯人捜しが始まる。本作では、"殺人が起こる前には色々な人間模様がある筈"との前提で、「犯行時=ゼロ時間」と捉え、ゼロ時間に至るまでの過程を緊迫感溢れる筆致で描いたもの。

物語の進行は通常のミステリと大して変らないのに、「ゼロ時間」を読者に意識させる事によって異常な雰囲気を醸しだしている点がクリスティの巧さである。そして、「ゼロ時間」の後に待っている更なる一捻り...。

事件の見させ方を縦横無尽に料理するクリスティの技巧が光る秀作。
5.0 着想の勝利
 ある人物が部屋でペンを走らせていた・・・そこには周到な殺人計画が書かれたいた。殺人の瞬間「ゼロ時間」を設定して描く、クリスティ懇親のミステリ。

 殺人は結果であって、その前に色々な出来事が合ってそこに到着するはずである。いうなら、殺人の瞬間「ゼロ時間」にもろもろの出来事は収束していくのだ・・・こうした事を書くと、犯罪小説の紹介みたいだが、おどろくなかれ、これが立派に本格ミステリになっている。
 しかし、よく、ストーリを追っていくと、構成自体はきわめて普通のミステリとあまり違いはない。ストレートに描いてもそれなりに面白い素材なのだ。しかし、クリスティが「ゼロ時間」というキーワードをそこに埋め込んだだけで、全く違った様相をみせてくる。「ゼロ時間」というキーワード自体が仕掛けなのだ・・・私は見事に騙された。
5.0 映画を観たくて読んでみました。
hayakawa文庫でしたが、活字が大きく、一気読みがたやすい本でした。
内容ですが、クリスティ作品にこういう主人公がでてくるんだ
と再認識させられました。そういう意味でとても新鮮でした。
そのあたりは権田萬治氏による解説に詳しくかかれています。

15日より日本公開の映画がどのように作られているのか興味しんしんです。

主人公もですが、オードリー役をキアラマストロヤンニが演じるとのこと、
原作で想像した人物像をどのように演じているか、胸がワクワクします。

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