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死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の商品レビュー

5.0 古本に対する価値観とは
 まだネットで本を探すことを知らなかったころに読み、共感と違和感、両方を感じた作品だ。
 まず共感の方。どんなことをしても(いや、殺人までは考えないけど)手に入れたい本があるという思いは、とても理解できた。当時も何年越しかで探している本があったので、余計にわかるわかるという感じだったかも。
 違和感の方は、気に入った本は本棚に並べておいて、読む分は別に買うという考え方。日本の住宅事情を考えると、これは限りがあるだろう。やっぱりアメリカは広いんだなーと妙な感心をした。それはきれいな状態で残しておきたい、価値のあるままにしておきたいという気持ちもわからなくはないけれど、読み込んだなーという痕跡があるのも、また一興ではないか。
 何年かしてネットオークションをのぞくようになって、雑誌の切り抜きが万単位で取引されているのを知り、やはり何か変だと感じる。
 かといって、読書に知識だけを求める友人が言うように、みんなメモリースティックに入れておけばいいというのも、違うんだよね。本というのは、手にとったときの重み、ページを開くときの楽しいような、もったいないようなわくわくした気持ち、紙のにおい、装丁そのものも含めて全部が「本」なのだ。好きな箇所をプリントアウトして読むというのは邪道だ。こういう感覚がわかる本好きさんには、ぜひ一読をお薦めしたい。
 ミステリーとしての出来は多くの方が語られているので、もう書くまでもないだろう。
 
5.0 ネット普及前の古本屋の世界
92年のジョンダニングのベストセラー。主人公はプレミア本が好きな変わった刑事で舞台はプレミア古書店街。アメリカとかは日本と違って人口も多いし、国も大きい、人種のるつぼであり出版される自国の著者の作品も半端で無く多い。マニアは全世界共通だからと日本に例えて言うのは見当違いだが、あえて言うなら活字も無い事は無いが、絶版マンガや廃盤DVDを○○フで安く買って○○らけやネットオークションで高く売る小商売に執着する人達を思い浮かべたら世界が似ている。本作の主人公も趣味でやっていたのが、刑事を辞めて古本屋に転職、ただの好事家から生きていく為のお金を稼ぐ為という趣味が仕事に変わっていく心境も書かれている。人間は何かそれぞれコレクター心理を持ち合わせているのは否定しえない。それはさておき、本書は日本の推理小説みたいに緻密では無いです。登場人物の行動も警察の対処も全てがおおさっぱだ。これは作品がいい加減というので無く前述した国の大きさの問題でアメリカならリアルに描けばこうなるなという感じである。だから日本人には推理小説というよりもハードボイルド小説に見えるでしょう。だが、アイデアの上手さは一級品ですよ。いろんな事象を絡めてあるのも非常に上手い。そして人間を描くのが凄く上手い。例えば登場する女性は5人だが、そのぞれぞれの性格や主人公との関係描写や彼女達を見まう幸不幸を比べて見ると、作者がどういう風に主人公の性格や意思、立場を描きたいのかが見えてくるし、ひいては作者の人間性も見えてくる。そういう人間描写に注意して読んでいたら、何かこの作者は仏教的な思考が感じられるなと不思議に思っていたのだが、最後に仏教の悟りについて主人公が語る所が出てきた。まあ、この部分は軽い使われ方であったが、この作者がこういう異国の宗教にも多少精通している気がしました。まあ私の勝手な想像ですけどね。
4.0 読みやすく面白い
文章がとても読みやすく、情報を小出しにすることによって読者の興味を引き続けるテクニックが巧みで、最後まで面白く読むことができた。
犯人が判明した後も謎が残され、最後の一行で鮮やかにその謎が解き明かされるのもしゃれている。トリック自体は目新しいものではないのだが、とても効果的に使われていると思う。
古本にまつわる薀蓄も楽しく、全体としては十分満足できる作品なのだが、不満がないわけでもない。
メインストーリーの古本に絡んだ殺人事件と並行して、主人公の宿敵である犯罪者との対決と、その男に精神的に隷属させれてしまった女の救済というサブストーリーが語られるのだが、サブストーリーの方は、主人公のパーソナリティーを説明するのと、主人公が警察を辞めて古本屋になるきっかけを与える役目を果たすだけで、メインストーリーとは最後まで交わらないで終わってしまう。どこかでメインストーリーとサブストーリーが何らかの形で交わると思い込んで読んでいたので、少し拍子抜けしてしまった。
5.0 マニアに国境なし
古書マニアについて書かれた本が好きだ。

そこには、本に対する限りない思い入れと、
それゆえの常識から逸脱した行動が描かれている。

それがたまらなく滑稽でいとおしい。

アメリカの古書マニアについて描かれていると聞いて飛びついたこの作品。
読み終えて私は狂喜乱舞した。

なにしろ、トリックが日本のとある古書ミステリとかぶっているのだ。

私は確信した。

マニアに国境はない、と。
3.0 そんなに儲かるの?
 古本の掘り出し屋の世界を描いたハードボイルド。掘り出し物とはいえ、古本屋商売がそんなに儲かるものかという疑問が、終始、頭にわいてきた。それを気にしなければ、翻訳がしっかりしていることもあって、読み通すことが出来るだろう。他の作品にもあたってみたい。

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