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2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴

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2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴の解説

   ビクトリア朝時代のイギリスで『2次元の世界』という本が出版された。その本は今日なおイギリスをはじめ世界各地で読み継がれている。  そして、一般向けの数学書のジャンルでは当代きっての書き手であるイアン・スチュアートが、この本とその著者であるE・アボットにほれ込んで自ら書き上げた続編が、本書『2次元より平らな世界』なのである。

   主人公のヴィッキー・ラインは厚みのない平面世界に住む女の子。この世界では、女性は1次元の線分であり、多角形の男性よりも、下等な存在として扱われている。

   そのヴィッキーがある日、ひいひいお祖父さんの残した手記を見つけた。それによれば、A・スクエアお祖父さんは2次元の住人には想像もできない、球形をした3次元からの使者スフィアに導かれて高次元の秘密をかいま見、それを2次元世界に広めようとして異端者扱いされ、投獄されたらしい。

   好奇心をそそられたヴィッキーは、次元を自在に飛び超える能力を持つ不思議な生物、スペースホッパーを呼び出すことに成功する。かくしてヴィッキーは、奇妙な数学的宇宙(マセバース)を巡ることになるのだ。

   自転車乗りに遭遇し「次元」を、ビストロでワインを飲みながら「射影幾何学」を、巨大なディナー皿のような双曲の国で「ユークリッド幾何学」を…スペースホッパーの明快な解説で、次々と理解していく。

 「ありえない」のに筋は通っている幾何学世界の摩訶不思議。高度な数学的・幾何学世界の魅力が楽しく語られているので、物語を読むようにのめり込むことができるだろう。

   幾何学の最新知識を学ぶのと同時に、ビクトリア朝イギリスの社会構造を風刺した、社会改革者アボットのいら立ちの叫びに耳を傾けられる、知的魅力あふれる1冊である。(冴木なお)

2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴の商品レビュー

3.0 努力は買うが、結果は・・・
 本書にはお手本となる前著があったようだ。そちらは未読だが、学問の世界をおとぎ話の構成を借りて平易に解説しようとする姿勢は「ソフィーの世界」を思い出させる。しかし残念ながら、哲学的な概念を解説する「ソフィー…」に対して、幾何学・物理学的な概念を説明する本書はその努力があまり実っているとは思えない。
 冒頭、表題でもあるトポロジーの説明はまだ比較的分かりやすいが、幾何学的解説を施すには言葉に頼りすぎで、もっと図版を多用して概念の理解を示すべきだと思われた。話はそこから量子力学、ビッグバンと進んでいき、著者が幾何学を切り口に最新の物理学の説明をしたかったと言うことがよく分かる。しかし話が進んでいけば行くほど、言葉だけでの説明がもう限界という感じで、それを軽い感じの会話形式で進めていくのは読んでいても辛いものがある。特に困ったことに各章末に主人公が書く日記の形でその章のまとめが語られるのだが、そこで新たな話が出てきたりして総括になっていない。
 ある程度の事前知識がある人には語り口が新鮮で楽しめるかもしれないが、題名につられて読んだり、幾何学や物理学の入門書として捉えると難解であり、著者の目論見は成功していないように思える。
4.0 そりゃ、突っ込みたい点もありますが
私はヴィッキー嬢の冒険物語として読みました。いやー、次々といろんな事件が起こって、冒険小説好きとしては止められませんでした。だって、非ユークリッド空間なんかへ行っちゃった日には、その環境の違いたるや、アマゾン(本屋さんじゃなくて)やヒマラヤなんかの比じゃありませんもの。私もVUM(ヴァーチャル非現実マシーン)、欲しい。

ただね、最後の八角形の所は、いただけませんでした(これ以上はネタばらしになっちゃうので、変な書き方でごめんなさい)。どうせなら、見掛けなんかでは価値が決まらないっていう、もう少し崇高なオチにして欲しかったです。

ダジャレ連発の楽しい英語を、楽しい日本語で提供くださった、翻訳者の努力には頭が下がります。読んでいるときは、努力が気にならない!スマートな文章なので、きっとその分、とてもご苦労なさった事でしょうね。

2.0 御伽噺の難しさ
二次元世界の住人にとって、三次元世界はどのように捉えられるか、という視点は、高次元の幾何学を理解するための入り口としては悪くないと思う。ただ、扱う内容がフラクタル、トポロジー、射影、非ユークリッド幾何学、量子論、重力子、ひも理論、などと広く、それだけに浅くなりがちなところに御伽噺仕立てになっているため、ごくごく表面的な内容となっている。

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