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映画事情には疎いので、あくまで個人的想像でしかありませんが、数年前から続いたCG合成技術のめざましい発達が「古代史もの」といったジャンルをハリウッド映画に蘇らせたと言えるのではないでしょうか。「グラディエイター」「パッション」「トロイ」「キングアーサー」……毎年のように古代史もの映画が配給され、安定した興行収入が見込まれてきました。今年も「アレキサンダー」が上映されます。この「サラミス」は、古代ギリシャに材をとった歴史小説です。たしかに歴史小説なんですが、これは司馬遼太郎を第一期ピークとする日本歴史小説史の文脈からではなく、古代史もの復活というハリウッドの潮流から生まれた作品であるように思えてなりません。というのも、偏執的なまでに内面描写を拒んだ文体、佐藤哲也作品にしては極端に少ない言語遊戯、そして何より、一人二役で登場するアレキサンダー。なぜ一人二役かといえば、出演料の削減のためであり、別のシーンではアテネの武将たちが自分の甲冑を他人のそれと見比べて、予算的優劣を競ったりしています。すなわち、今のハリウッドの調子でこういう映画が企画されたならばきっとこうなる、いやどうせならこうなってほしいという作者の妄想が、小説にそのまま映写された作品なのだ、と私には思えました。そして、この軍議ばかりでアクションの乏しい戦争映画を、スクリーンで見てみたいとも思いました。きちんとした人が撮れば、格調高くて品のある映画になると確信します。かけた予算に見合うヒット作になるとは確信できませんが。