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まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

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まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)の商品レビュー

4.0 正しく「オタク」であるとは
◆「シュレディンガーのチョコパフェ」

 旧友の科学者・溝呂木は「先進波」を使って因果律を破壊し、
 「夢時空」を現出させることで世界を崩壊させようとしていた…。


 等身大のオタクによる自己肯定と、他者との
 コミュニケーションのあり方を問う物語。

 原型は1985年に同人誌に発表した短篇だとか。

 その頃から変わらず、未来を前向きで、
 肯定的なビジョンで描いてきた著者に拍手。



◆「奥歯のスイッチを入れろ」

 改造人間の苦悩と悲哀をパロディにせず、真摯に描いた作品。

 「正義の味方」に必要なのは、人と人との信頼関係であるという
 ちょっと恥ずかしい主張に十分な説得力を与えるSF設定が秀逸。



◆「メデューサの呪文」

 言語SF。

 『アイの物語』同様、

   進んだ文明は現実よりもフィクションを重視する

 というテーマが描かれます。



◆「闇からの衝動」

 作家C・L・ムーアを主人公とし、その代表作の
 モチーフを組合せ、荒唐無稽な発想でまとめ上げた作品。


 作家が持つ想像力の源泉が、著者の想像力によって見事に
 形象化されており、じつに感動的なオマージュとなっています。
3.0 まあ、普通に読めるけど
山本氏の小説に関しては、恐るべき駄作であった『神は沈黙せず』を最初に読んで
トラウマになってしまっていたのだが、この短編集は比較的マトモでそれなりに
面白かった。氏の著作を知らず、最初にこれを読む読者はまあまあ普通に楽しめる
とは思う。ただ、『神は沈黙せず』を知っている私としては、山本氏独特の
いやらしさが透けて見えてちょっと微妙な感覚にもなった。どうも作者は文章力が
ありすぎてかえって小説作りにマイナスに働いてしまっているように思える。
3.0 玄人好みの設定で、SFマニアにのみ推奨
山本弘氏のSF小説で、50〜60ページの短編が6編収載されている。はるか未来の地球外知的生命体とのコンタクトをテーマにしたものや、サイボーグもの、現代を舞台にしたタイムマシンもの、ホラーに近いものまでバラエティーに富む。対象はある程度物理学的な専門用語を理解するSFマニアと思われる。

同氏の他の短編集とは趣がやや異なる作品。理由は、著者自身も述べているように、過去の作品にないほどとてつもなく荒唐無稽な設定であること、そうでありながら物理学的な説明が非常にマニアックである点。物理学を学んだ者にとっては『そうくるか』という感心や『それだけは絶対にない』というツッコミをいれながら読む楽しみ方ができるが、物理を知らない者にとっては説明がくどすぎてついて来れないように思う。時間軸を逆向きにしてもエントロピーの方向が不変であると仮定した世界などは非常に面白いが、あくまでマニア向けの設定であろう。自分が感じる限り、もっとも面白いSFは、あり得そうな設定で展開するか、物理法則を1つだけ変更して創られる(なるべく簡便な説明で済む)ような世界観をもつ作品ではないかという気がする。

氏の特徴である一般的な雑学にかんする蘊蓄や地球人にたいする客観的な評価はかわらずに満載しており、個人的には大きな不満なく楽しめたが、評価を星3つにとどめた理由は、これを勧められる読者が非常に限定されること。
4.0 さらりと読める、ちゃんとしたSF。
いずれもSFとしてのアイデアを盛り込みつつ、読みやすい短編ばかりです。

「奥歯のスイッチを入れろ」は、超高速格闘戦の科学考証もさることながら、主人公の内心の動きも大きな比重を占めています。

「バイオシップ・ハンター」地球外生物とのコンタクトもの。“人類について客観的に批評する異種族”というのは作者の得意技ですね。

「メデューサの呪文」これが一番印象的でした。とある惑星で、宇宙戦艦が消息を絶った。惑星にいるのは、言語能力は高いが文明を持たない異星生物だけ。唯一の生き残りは真相を語るのを拒否し、ただ、この手記を執筆することを申し出た……。

「まだ見ぬ冬の悲しみも」タイムトラベルと、それがもたらす恐ろしい悲劇。(私は、この作品の結末が科学的・論理的に正しいのかどうか、まだ悩んでいますが……)

「シュレディンガーのチョコパフェ」因果律がだんだん崩れていく描写が秀逸でした。

「闇からの衝動」SFというよりクトゥルフ神話作品かも。30年代アメリカのSF作家の創作力の背後には、実は……という、古いSFへのオマージュを込めた作品。
2.0 なんかなー
この本はあっちこっちで評価されているので、読んでみました。
しかし、なんかマニアねたとちょっと凝ったSF設定・・・というより物理的な説明くらいしか見るべきものはなく、人物も薄くって感情移入もできませんでした。
SF設定で良かったのは「バイオシップ・ハンター」と「メデューサの呪文」ぐらいだけど、言語ネタだったら神林長平とか飛浩孝にはかないそうもないので、「バイオシップ・ハンター」だけですかねー。
ただ、この小説が書かれたのは1990年というので、最近のはいけませんねー。

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