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文学オタクのロボット達が嵐の中でシェークスピアの「テンペスト」を引用する、などというのはSFでしか味わえない妙味だ。 プルーストについての文学論も出てくる。「ハイペリオン」ではキーツの詩があちこちに引用されていた。それで図書館でキーツの詩集を借りて読んでしまった。(いわゆる文学作品などほとんど読まないのだが。)今回は「失われた時を求めて」を手に取ってみようかという気になった。同じように、この本を読んだ友人は「イリアス」に挑戦するという。 SFで純文学への興味をかきたててしまうなんて、本当にシモンズはすごいと思う。
『ハイペリオン』シリーズで90年代の翻訳SF界の話題を独占したシモンズひさびさの長編。 しかも、描写こそ『ハイペリオン』の粘っこいバイオレンスンスは和らげられていますが、ストーリーテラーとしてのシモンズは健在。エディターレビューに詳しく設定が示されているので、ネタバレにもなりそうだし、言及は避けますが、神々が地球化された火星で再現しているトロイア戦争(何の目的か、神々とは何者かは不明)−ホメロスの『イーリアス』のとおりにリプレイされるべきものが、だんだんずれてゆく。 そのメイン・ストーリィにからむ二つの別の物語も絶妙。 すべての謎は続編の『オリュンポス』で解きあかされる。原著は2005年6月発行ですので、訳者の酒井昭伸氏のがんばりに期待しましょう。 いやあ、シモンズはやはり稀代のストーリーテラーです。