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進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

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進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)の商品レビュー

4.0 父親は割をくう
総ページ約300のうち、最初の70ページほど読むのに4日ほど時間が掛かり、「こりゃ放り出しパターンか?」と思っていましたが、状況説明が終わり舞台ができあがって物語りが動き始めると、一気に読めました。

劇中でダーウィン進化論の「自然淘汰」が口にされすぎで閉口しました。せめてウィルス進化論ぐらいは出して欲しかったです。

他の方も書かれていますが、出てくる女性がすべてスーパーウーマンで、どんな状況でもパニックにならないのは、物語の性質上仕方ないのかもしれませんが、今ひとつ釈然としない部分です。

お父さん、猫屋敷での活躍ご苦労様でした。本人は死にかけましたが、信じてもらえず報われい…

p.s.
ロボット同士の対決シーン?もあります。
3.0 おかずたっぷりの三色弁当
「SFが読みたい! 2008年版」で国内8位として紹介されています。ガジェットと設定と表紙イラストに惹かれて読みました。ある意味で期待通りの作品なので星は3つです。

 帯の「人類は、神によってデザインされたのか?」に答えていく過程を追いかけるストーリーなのかと思いましたが、そうではありませんでした。小説の筋書きとしては「スーパーコンピューターはなぜ予測に失敗したのか」に「テロリストはいかにしてスーパーコンピューターの悪用に失敗したか」を絡ませ「寡黙な幼女はユビキタスネットワークに適応した新人類なのか」を振りかけたものです。

(1)気象予測が大きくはずれた。なぜか。(主人公:吉野尚美♀)
(2)世界的全体主義的集団を追っていたジャーナリストが失踪した。どこに。(主人公:日向拓海♂)
(3)海中作業中の古生物学者が不可解な事故死。どうしてか。(主人公:山城星良♀)
 これら3つの謎がそれぞれに場所と登場人物を切り替えて提示されます。私には3本立てはちょっと多すぎたかもしれません。3本が結びつくまでじれったい感じもありましたが、全体の3分の2を超えたあたりから読むスピードが上がりました。

 プロットと設定は素敵です。
 生物圏の影響を含めないと気象も正確には予想できないというアイディア。
 DNAに差がなくても一世代のうちに形質「進化」可能なエピジェネティクス。
 淘汰圧にさらされたコンピュータが自己最適化して環境に適応する自発的コンフィグレーション。
 海底作業用の両手両足のある潜水艇(PADS)どうしの決闘。
 コンピュータと猫と新人類がユビキタスネットワークで融合する非言語相互作用システム。
 どの要素もいかにもな雰囲気の漂う、うれしいSF小説でした。

 反面、登場する巨大洋上都市船ムルデカや海中作業用パワードスーツPADSのイメージには迫ってくるものが私にはあまりなく、そこにもどかしい感じを受けました。表紙イラストがその感じを補ってくれました。
 日向拓海には好感を持ちました。高齢者や先天的もしくは後天的な病気や怪我で障害を負う人たち、ホームレスの人たちに対する社会的支援の欠損を深刻に受け止めるまっすぐな姿勢に好感を覚えました。
 登場する女性たちは、新人類でこそないものの、みんな最初から超人的。アタマもよく、技能も体力もあり、行動的で、とってつけたように男勝りな、若い、きれいな、日本女性。誰が誰やらちょっと混乱しました。彼女たちが(全員ではなくても)もう少し弱点を備え、物語中の事件に遭遇するなかでそれぞれにしっかり成長するさまが描かれていたら、さらに味わい深かったでしょう。

 なお、校正誤りなのか、目につく誤りがあります。
(1)130ページ下段最後の行の吾妻の台詞(開きカギ括弧もれ)
 【誤】 しかし、この新種が間接的に影響を与えるのは
 【正】「しかし、この新種が間接的に影響を与えるのは
(2)132ページ下段最初の尚美の台詞(夫)
 【誤】この荷物、亡くなった前夫人から送られてきたんです
 【正】この荷物、亡くなった前夫から送られてきたんです
(3)290ページの上段12行目の吾妻の台詞(トリアージ)
 【誤】救急医療の現場にはトリロジーという考え方がある
 【正】救急医療の現場にはトリアージという考え方がある
3.0 まとまりきらないかな
背景にもちいられるハードSF要素は秀逸。進化と環境問題とユビキタスと福祉と海洋都市といろいろ詰め込みすぎたせいか全体としてまとまりに欠く気がした。ウロボロスやストリンガーと比べると少しおちるかも。コピーで言うほど進化の新たな階梯というほどではない。SFと推理ものの融合であるが、うまくいったかどうか。読者の判断にゆだねる。
3.0 パーフェクト人間?
物語のテイストはこれまで林譲治が書いてきた宇宙もののSFとあまり違いはないのだが、日本が州制になっていたり、個人にIDタグがついていたり、ちょっと先にありそうな未来をさり気なく演出している様は良い感じ。
他の林譲治の他の小説にも言えるのだけど、訓練や危機管理を行う立場でない登場人物までもが危機に際して冷静で的確に処理をしてしまい決してパニックになどならないし、焦ったりもしない。これまでは宇宙という空間の中で宇宙飛行士などの訓練された人たちを扱ってきたので、そういう設定もあながち不自然ではなかったのだが、今回は近未来だし閉鎖された社会でも訓練された人間でもないので、全くもって不自然きわまりなく、ものすごく違和感がある。
特に女性キャラはそこに指導力まで加わっていて、もはや、人間としてパーフェクトの存在である。そういう存在が少数いる分にはかまわないのだが、出てくる女性キャラが皆そうだと、そんなできた人間ばかりのはずはないだろーと思ってしまう。
作者はそのようなパーフェクトな女性キャラにラフな言葉使いをさせたりして一生懸命読者に読者に近親感をだそうと努力してはいるが、そうすればするほど、どんどん読者からかけ離れた出来た人間だけがいる世界になっていっているようだ。なんか、普通の人間が住むには住みにくい世界、まさにユーレカが目指す世界のよう。
ともかく、もっと登場人物にメリハリをつけて描いてほしい。でないと、物語全体がシラケてしまう。
4.0 創造論と進化論の戦い・・?
「人類は神によってデザインされたのか?」・・衝撃的な帯のコピーにつられて衝動買いしてしまいました。
とってもおもしろかったのですが・・コピーの内容とはちょっと内容が異なっていましたね。
深遠な進化の秘密を解き明かすストーリーを期待するとちょっと裏切られます。
「ユーレカ」と称する創造論を主張する集団が出てくるのですが、最初からテロリスト扱いです。
もっと「えー進化論って間違ってるの?」と迷ってしまうような展開が欲しかったです。

でも、決してつまらないわけじゃないです。アクションSFが好きな方にはピッタリでしょう。

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