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楽園〈上〉

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楽園〈上〉の商品レビュー

5.0 超絶技巧のストーリー展開
著者の作品はこれまで「模倣犯」しか読んだことがないが,その作品の続編ということで読んでみることにした.

ストーリーは「模倣犯」の事件から9年が経った設定で,事件で大活躍したが,大きな心の傷を負ったフリーライター・前畑滋子のもとに,荻谷敏子という女性が12歳で事故死した息子に関する不可思議な依頼を持ち込むという内容で始まる.その依頼内容とは,女性の息子が,予知能力を持つ超能力者だったかも知れないので,その真偽を調べて欲しいという突飛なものだった.

ストーリー展開は非常に巧妙で,読者を引き込む文章力は,さすがとしか言いようがない.詳細はネタばれのため割愛するが,思いもよらない展開が随所にちりばめられ,読者を飽きさせない流れは素晴らしい.また途中に断章がいくつか挟まれていて,それが後のストーリーに関連するという仕掛けも面白い.
4.0 おもしろく、考えさせられました
新刊時に買っておきながら、やっと読みました。今更ながらですが、おもしろく、一気に読まされてしまいました。模倣犯は、そのボリュームと救いようのない陰惨な犯罪描写がえぐ過ぎて、決して読後の感想は良いものではなかったのですが、本作品は、犯罪部分の描写は抑えた印象を受け、個人的にはその点が重過ぎず、丁度良かったかと思っています。その分、土井崎家の親と茜の関係が、自らの家庭の降りかかってきた時に、どのように対処できるだろうか、と言ったところに思いを巡らせてしまいました。親の経済力の格差が子供にも影響を与えてしまう現実、兄弟間の出来不出来、避けられない親との相性等、程度の差はあれど、実生活で抱えてしまう問題が散りばめられており、まだ小さい子供を持つ親として、ミステリーの本質とは違う部分ではありますが、宮部氏の社会問題への問題提起の鋭さに感じ入るとともに、考えさせられるテーマでした。勿論純然とミステリーとしても楽しめました。
4.0 遠い世界のはなしではなく
宮部みゆきという作家の書くものは基本的に好きなのだけれど
いわゆる大御所、ベストセラー作家というものを、ひねくれて避けてしまうところがあったりします。
でも売れていようが売れていまいがいいものはいいのです。

「模倣犯」の事件から9年、事件の衝撃から立ち直れないままの前畑滋子のもとに舞い込んだ奇妙な依頼。心を動かされた滋子は、新たな事件の渦中に飛び込むことになる―。

既におきている犯罪の理由を追いかけていくことが物語の中心になります。
実の娘を殺し、家の下に埋め、時効成立後に自白をした父と母の、理由。
ひとつひとつ事実がつながっていき、明らかになる真相。
それはどんどん薄暗い道に入り込んでいくような、やりきれない物語です。
いい結末はないと知りながらも、とても途中でやめることはできないのです。

決して許されるようなことではない。
もっと違った方法があっただろうと思いながらも
もしあなただったら・・・という問いかけには答えに詰まる。
こうするべき、は答えられるけれど、もし、ほんとうに自分がそこにいたら?
あるいは何かを踏み越えて犯罪にいたるまでのひとつひとつの小さな積み重ねを
自分が作り出さないと、いいきれる?
ざわざわと、心が落ち着かなくなります。
この作家さんは登場人物をあまりに丹念に書いていくので
どの人も、そんなに遠い世界の人々ではない、血の通った隣人のようだから。

でも。
この物語の始まるきっかけになった敏子さんという女性。
この人の存在がお話全体に救いをもたらしています。
救いのない話を、ただ救いのないだけの話としては書かない。
宮部さんらしい優しさもちゃんとありますので、小説として楽しめます。
やっぱり大御所だなあ。上手いです。
1.0 残念な作品
「模倣犯」同様、悪人をひたすら悪人として描くことで読者を惹きつけようとする、
救いのない話。主人公についても、非常に独善的な価値観(メディア礼賛に近い)
に基づいて描かれている印象で、作者あるいはメディア関係の仕事をされる方でない
と感情移入できないのでは?と思わせる。そして、これまた「模倣犯」同様、無駄に長い。
あとがきの言い訳も見苦しく。

個人的には不朽の名作だと思っている「火車」のような作品を、また生み出して欲しい
のだが。

4.0 約束が反故に
 最近の宮部みゆき氏の作品に不満だったが、この作品には一応満足しました。読んでいて面白かった。
 ただし、土井崎が茜を殺害したという前提でストーリーが続くので、これはどんでん返しがあるぞと期待してしまった。結局それはなかった。なんだか宮部氏に約束を反故にされたという気持ちが強い。ラストで読者を驚かせるような大きな展開があれば、ワンランク上の評価になったと思う。

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