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乳と卵

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乳と卵の商品レビュー

4.0 関西人ならすらすら読めます
関西弁がネイティブなら、問題なく読めるはず。筒井康隆さんの唯野教授思い出すなぁ。町田康より、だんぜん読みやすいし、理性的すぎないでいいんじゃないかな。ところどころで入るエピソードや回想なんかも変にまとめすぎたりせずに投げだされてる感じが◎。前作から頻出する「〜部」って表現、使いたくなりません?
男性の僕にはテーマをちゃんと理解するのは難しいけど、言葉を追いかけること自体の快楽はたっぷり味わわせてくれます。
ユーモアやバランス感覚のある素敵な作家さんだと思いますよ。

挿入される緑子の日記部が秀逸。「ちゃんと話の時をつくらな、あかん。なんでそんなことするのかってあたしちゃんときけるかな、胸の話とかはしやんと、全部、ちゃんと、したいねん」
3.0 ナチュラル
表現の仕方が古文的現代文と言ったイメージで、文章と言うより、そらんじているような軽快さはあるけれど、内容を把握しづらく少しイライラしてしまう感じ。 だけども、あえて簡潔過ぎない表現が、すごくリアルで現実との違和感がなくスラッと読めました。作者のキメの細かい思春期の女の子の心情の表現や女同士で論駁しあう様は滑稽であり、愁嘆でありました。
3.0 饒舌
饒舌の関西弁はときにリズムを生み出し、心地よい。(私は関西在住なのですらすら読めました。)
ただこのリズムに頼りすぎたと思う。本質を見ればこの小説の持つ意味というのは本当に範囲の狭いものだ。特に私を含む男性が読むには向いていない。
後半は皆さんが仰るように特に減速した。それこそ卵とぐちゃぐちゃになるというのはそれは視覚的には強烈なのだけれど、そこからすんなり収まってしまう。そういう狙いなのか。身体と言葉はすごく魅力的なのに、勿体無い。
現在執筆中という川上さんは「リーダブルな」小説を目指したいと言う。彼女の可能性には本当に羨ましいものがあるし、"これから"を期待していいと思う。
1.0 個性と取るか否か
内容は良くも悪くも普通なのだが、私は最後の最後まで文体の不自然さと日本語の間違いが視界の端にちらついてしようがなかった。小学生の読書感想文の方が遥かに美しい日本語を使っているだろう。
日記やブログなら好き勝手な文体で構わないだろうが、読者が居て初めて成り立つ小説家という存在が私たちの読書の妨げをするというのはどうなのだろうか。それとも彼女の作品は内容の如何に関わらず、関西弁を用いた独特の文体を愉しむためのものなのだろうか。そんな下らないことを真面目に考えてしまうような作品だ。これを個性と呼ぶのならもう何でもありだろう。芥川龍之介も涙目である。
一時間程度で読める点のみ星一つ。
3.0 女性の、女性による、女性の為の教養小説
豊胸手術を目指す母親と初潮に苦悶する娘を通して、女性のレーゾンデートルを問うた意欲作。その試みは、女流作家故に可能だった冒険ともいえる。
大阪から豊胸手術を受けに東京へやって来る母親と、母親に心を閉ざし、ノートを用いた筆談で挑戦する娘、そして、そんな二人を泊める母親の妹(娘の叔母)の、それぞれの心模様を、乳房や生理といった女性特有のものをモチーフに、大阪人気質でノリよく描く。
「自己実現」の母親、「自己嫌悪(性嫌悪)」の娘、それらの聞き手であり、同時に物語の語り手でもある主人公。この三者のパワーバランスの案配には、著者の文学的機知を窺わせる。また、オブザーバーを敢えて語り手とし、女性としての「生」と「性」の狭間に揺れる娘の葛藤を本人の日記という形式で断片的に挿入した、構成の技巧には感嘆させられる。
文学性自体は評価できる。たが、それは、中盤までだ。長らく隔たりのあった母親と娘が、娘の突然の爆発による卵の頭への叩き付けという、何とも歪なきっかけで和解をし、結局、説得力のある説明もないままに、母親は手術もせず娘共々帰ってゆく…。これでは尻切れ蜻蛉もいいところではないか?昨今の純文学には後半から失速する傾向が多々あるように見られるが、これもそれを逃れられなかったのは惜しい。
関西弁の饒舌文体。これについても、正直なところ、歓迎できない。この作品はこの文体でなければ書けなかったのだろうが、それにしても、読み手あっての文学たれば、ストーリーテラーの語りと登場人物の台詞との区別、句読点の適所への配置には配慮が欲しかった。
好きなタイプの作風では決してないのだが、それでも、この著者には並々ならぬ才知と将来性を感じるのも、また、事実だ。「歯」というホップ、「乳」というステップに続くジャンプに、今後期待していきたい。

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