すごい本。
独自の詳細な調査結果に基づき北朝鮮問題に考察を加える元赤旗平壌特派員の著者であるが、この本においては、1)金日成の死には不自然な点が多く、(断定は避けつつも)金日成は金正日に消されたのではないか?2)北朝鮮で金日成死後、継続・悪化している飢餓は金正日が作り出した人為的な大量殺戮である、という論を展開している。今まで私はそのような話を他で聞いたことがない。1)に関しては、様々な調査結果から親子の対立(?)が非常に明確にされており、また2)は入手が難しかっただろう各種統計資料に基づき理路整然と説明されていることは圧巻である。また、最終章に「今、何をすべきか」という著者の論も、本書を読めば非常に納得がいく。
2004年までの、比較的最近の北朝鮮、金正日を知る上で非常に重要な本と思われる。5★、お勧め。
足で書いた力作
一九九四年の金日成の死とその後の大量餓死の謎を、多くの資料を海外に求め地道に歩き回って解明しようとした力作です。
北朝鮮に赤旗特派員として駐在するなど一時は社会主義の模範の国と憧れた国への特別な思いが迸る文章も熱く、引き込まれるように読み進めました。金正日が父親を謀殺し、さらに、反対派粛清のために意図的に飢餓まで作り出したとの著者の仮説にはやや無理があるように思えますが、それを疑わしめるだけの事実を次々と突きつけていく展開は迫力十分で、北朝鮮の複雑な内情を改めて考えさせられます。
著者は金日成との比較で金正日の保守性を批判していますが、やや遅れて出た河信基著『金正日の後継者は在日の息子」は対照的に、金日成の限界を指摘し、金正日が市場経済化などの開放・改革政策へと向かわざるを得ない必然性を説いています。
性急にどちらが正解かなどと求めず、二書を比較しながら読むと、北朝鮮の状況がより鮮明に見えてくるのではないでしょうか。