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心にナイフをしのばせて

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心にナイフをしのばせての商品レビュー

5.0 作者の苦しみ
作品がとても苦しい。よんでいて苦しくなる。
だけど、作者も苦しみながら書いているように思った。二つの意味で。
一つが、大変なテーマで書いている苦しみ。
もう一つが、そのテーマをどんなふうに書けばいいのかと悩んでいる苦しみ。
だから、文章がギスギスしているように読めた。けど、そのギスギスした感じが苦しみとなってつたわる。
それに対して賛否両論あると思う。
けど、最後のどんでん返しは、それに勝る力を持っていた。
とても力のある傑作だ。
4.0 質問
レビューが2週間以上過ぎても掲載されません。状況ないし判断をうかがいます。
5.0 読んでわが身・わが人生を振り返る。
フィクション・ノンフィクション問わず優れた作品は、読後にわが身・わが人生を振り返る機会を与えてくれます。この作品もその一つです。
もちろんこの作品の問題提起が最後に出てくる衝撃的な加害者の「その後」であることは間違いありません。そのことに僕もおおいに葛藤します。
それでもやはり僕の心に残るのは、残された被害者家族がその後いかに生きたのかということ。長男を殺害された残りの3人の家族だけに焦点をあてず、父親の生まれ育ち、友人たちといった周辺の人間関係までを俯瞰しながら、「その後」を照らしていきます。
読み進めていく中で、かつて自分自身の両親・家族・親戚の中で起こった不幸、事件、出来事に想いを馳せてしまうのは僕だけでしょうか。
家族や親戚という血縁・地縁の中にいる自分。
そんな自分をあらためて見つめなおすきっかけを与えてくれる本です。
おすすめ。
5.0 心にナイフをしのばせて
昭和44年に発生した少年による同級生殺人の被害者家族の約30年の軌跡と,加害者の現在の様子を綴るノンフィクション。
この本を読むことで,少年犯罪においては被害者が苦しみ,加害者が法の「保護」の下で過去を隠して生きられるという世の中のいびつさを感じられるだろう。
悲しみや憎しみを押し殺して暮らしてきた被害者家族の姿は,哀れである。しかし,加害者への恨みを周囲に露わにしない姿には,尊さすら覚える。
よく少年犯罪には「更生」という言葉が付きまとうが,更生するとはどういうことなのか考えさせられる。少年犯罪が多発するとされる現代において,深く議論されるべきテーマだと感じる。
3.0 本の方向性に、疑問を感じる
 猟奇的に殺害された少年加害者による、犯罪被害者家族の30年以上を経た今も尚続く事件からの波紋を、妹や母親の語りを主体に文章化している内容で、加害者が弁護士として経済的に成功していながら賠償金も謝罪もなく暮らしている点と比較して、読者はとてもひどい怒りをもつだろう。
 そして、その怒りはどこへ向かうのか?

 加害者が遺族に「心から詫びる」ような矯正教育が難しく、それをもって「更正」とするのであれば、それは厳罰化と、国による加害者の生涯に対する管理制度、被害者給付金の大幅な増額であろう。        あとがきもそう誘導している。

 酒鬼薔薇以降、厳罰化は進んだが、被害者救済は目に見えて進んではおらず(地下鉄サリン事件には3000万を上限にした)、少年・成年とも重大犯罪数が減少しているにもかかわらず、人々の不安感は連日のワイドショーで掻き立てられ、監視カメラが街中いたる所に設置され、頻繁に警官に職質されるような、より生き辛い方向へと自己完結するような社会となっていくように、遺族への感情が利用されているのではないだろうか?

 遺族の悲しみは、少年加害事件だけでなく、成人加害事件、交通事故、遭難事故、企業による過労(自)死、行政の作為・不作為による(原爆・公害病の患者認定、薬害、石綿、社会保障制度の支給拒否などの)見殺しのどれによるものも違いはなかろう。
 ことさらに、社会のひずみが1番弱いところに出ているとも言える、少年事件だけに特化するのではなく、むしろ行政や企業に着目させないようにしている意図を感じる。

 ところで、遺族が実名なのは、どうしてなのか?      居所も尋ねようと思えば分かるような書き方だが、実名を遺族が望んだのかについては触れられていない。
 本書は、たいそう売れたようだが、遺族が再度野次馬の好奇な目にさらされることのないよう配慮してあるのかと、更にギモンが膨らんだ(加害者の弁護士は、その実名や経歴の詳細がネットにさらされている)。
 

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