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文化の経済学―日本的システムは悪くない (文春新書)

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文化の経済学―日本的システムは悪くない (文春新書)の商品レビュー

4.0 文化の影響力
 「信頼」や「忠誠心」といった文化的価値が経済効率にどのようにして影響を及ぼすかをゲーム理論を用いて論じた本。筆者の前作『終身雇用制と日本文化』と内容的に重複する点もあるが、本書ではさらに文化の影響力について強調している。
 確かに実感としては本書の議論に納得できる部分は多い。しかし、経済と文化の関係はそれほど単純ではない上、筆者の議論は少し文化の影響力を強調しすぎている傾向があると思われる。多少の不満はあるが全体として非常に刺激的な議論が展開されている。荒削りだが、経済の見方に大きな影響を与えてくれる本だと思う。
3.0 最終的に文化に行き着くところが?
某大手古本センターで105円にて購入。
ゲーム論から見た日本の労使の組織依存的傾向を分析する大変読みやすい良書。ゲーム理論を用いた日本的雇用慣行分析としては、そのエッセンスが勉強できる。

しかし、疑問点として青木昌彦のJ企業論とどこが違うのか、
最終的に組織志向を位置づける根拠として文化に行き着くのは正しいのか、という二点が残った。

新古典派に対する明確なアンチテーゼを打ち出しているだけに、
この点若干不満である。
ということで、☆三つ。

5.0 なかなかの力作
経済理論を文化から切り離して、普遍的に論じることが行われたのが経済学の歴史であった。しかし、それでは現実の経済現象の説明もできず、時として実際に説明(理論化)したものの、なぜかしっくりこない感覚を持つことが、経済学の不満や限界と思われてきた。
この本は短著ながら、その経済理論の背景となる文化に斬り込んだ力作である。理論的にはゲーム理論の繰り返しの囚人のジレンマを用いている。日本の経済システムは繰り返しの囚人のジレンマ的なシステムであり、その結果協調が生まれやすく、その結果として、組織に能力が蓄積され、現在のように発展したという内容である。
簡単なゲーム理論を用いて、ここまで深い議論が出来るのかと感動したとともに、実は彼は一流の理論経済学者であることも驚きである。
新書ながらなかなかの力作。

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