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団塊の世代 (文春文庫)

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団塊の世代 (文春文庫)の商品レビュー

2.0 歴史認識の誤謬
年初のTVで彼が「団塊の世代は何の方針も残さず、只去って行く・・・」と発言し、このおっさん なにを言うてんねんと、念の為読んでみたが、想像通りの文章で 我々団塊の世代が30数年どんな苦労をしてきたか、ほとんど判っていない。官僚独特の実地検証無しの展開で「感動」・「共感」が持てない。元々ノー天気なおっさんのようで、これからは、無視する。但し物語としては(本人が実際に書いているのであれば)よく出来ている。それで星かろうじて二つ。若い人はこういう人に騙されてはいけない。
4.0 堺屋氏は理想家である
なんにしてもパイオニアは最も評価されるべきである。
政治に顔を出した結果、ヤケドをした感のある氏であるが、「団塊」を造語した功績というのは「負け犬」以上にすごいものだから。
私はたまたま仕事上、多くの団塊の方々とお話をする機会に恵まれている。
もちろん、それぞれ個性的であるのだが、彼らの特徴を最大公約数的にいうなら、「楽観的」がもっともふさわしい。
団塊の方々は、もうすぐ定年を迎える方が多いが、現在はおおむね驚くほどの高給を取り、子供は成人し、住む家を所有し、8割が配偶者を有し、定年後もなんらかの形で就労を続ける場合が多い。
これで「楽観的」になれないとしたら、もともとうつ病かなにかであろう。
やはり、団塊の世代は恵まれている、というのが他世代としての実感である。
三浦展のいうように、団塊が恵まれている分、そのジュニアたちがいつまでも親におんぶしているという傾向は、自然の流れというべきである。
このジュニアたちを、香山リカは「損をしていると感じている世代」三浦展は「正社員になりにくいために下流へ流れる世代」と呼んでいる。
今、日本人の誰もが明確にしておかなければならないのは、やはり、団塊の方々はこれまでのところ、もっとも公平に富の分配に預かっている層だということだ。もちろん、団塊当事者の側から、こうした声は上がらない。
堺屋氏は確か、「親の財産を子供が有償で買い取るべき」と主張しており、ご自身はそうするつもりである、と言っていた。
年老いた親の生活費や介護問題も解決できるし、階層格差を縮めるためにも、有効である、とのことだ。
やはり氏は理想主義者であるようだ。
日本において「感情」の問題がどんな大きなウェイトを占めるのか、おわかりでない。
親側がそれが可能なメンタリティを有するなら、ニートもパラサイトもこれほど多く存在していないはずではないか。やはり堺屋氏は「ブレーン」に留まる人物と思われる。
4.0 現代の問題点を白日に晒された思い
四話構成の中で、一番考えさせられたのは第四話であった。
高齢者対策に関する内容で、内容そのものもさることながら、世代間で考え方にギャップが生ずるという指摘がなされていて、うわーと思う。
団塊世代の代表者たる総理府参事官は、ごく自然な価値観として、また近い将来に自分たちが高齢者になる危機感もあって、「高齢者を大切にし、支えるのは国民の当然の義務である」と訴える。
しかし30才前後と見られる若手官僚たちは「団塊世代は、高度成長期に将来に関するろくな展望も持たず、目の前の娯楽に興じた無策世代だ。そんな人たちのために自分たちがなぜ重い負担を強いられるのか」と弾劾するのである。
「やがて国を二分する議論になる」と著者は指摘するが、二分するとは思えない。
虹のようなグラデーションを描くのではないだろうか。
ちなみに私は現在43才で微妙な年齢層である。どちらの意見にも100%同調できない思いがするのだが…。
ところで、こんな話を聞いたことがある。
日曜日の午後、電車は満席。
座っているサラリーマンの前で、休日登山帰りの高齢者一行が「近頃の若者は席を譲らない」と非難がましい会話をする。
サラリーマンは「自分は休日出勤までして給料を稼ぎ、あんたたちを支えているんだ。日曜登山するくらいならまだまだ元気なんだろう。座りたかったら優先席へ行けよ」と反論する。
この話も、私はどちらかに100%同調することができない。
30年前の本でありながら、現代の誰もが何となく感じている問題点が、容赦なく白日の下に晒された思いである。
4.0 紹介されている四話とも、四半世紀たった今でも、色あせない傑作揃いだ。
堺屋さんの名著「団塊の世代『黄金の十年』が始まる」が出たのを機に、昭和55年の初版本で読み返してみた。

第一話:電機メーカーの新規事業としてのコンビニ開発秘話。 第二話:自動車メーカー(三菱?)の苦労物語。 第三話:金融業の管理職リストラ話。 第四話:中央官僚の末路…。
いずれの創作も、四半世紀たった今でも、色あせない傑作揃いだ。

新装版が出た今、冒頭の書と「合わせて一本!」の気持ちで読むとよい。

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