商品の情報
夜の記憶 (文春文庫)

夜の記憶 (文春文庫)

この商品が欲しい!
この商品は Amazon.co.jp で購入することができます。このボタンをクリックすると、商品が Amazon.co.jp のカートに入ります。

夜の記憶 (文春文庫)の商品レビュー

3.0 ミステリと歴史の真実のバランスが中途半端
闇、黒、夜に包まれた物語である。作家である主人公は、幼い頃眼の前で姉を惨殺された陰惨な過去を持つ。彼が書くスリラーにも、その体験が色濃く反映される。かなり危ない精神状態である。そんな主人公がある館に招かれるが、館の女主人の目的は、50年前に起きた少女殺人事件の絵解きである。その少女フェイは使用人の娘で女主人とは親友だった。しかし、女主人の依頼は事件の解決ではなく、フェイの老母が満足するストーリーを紡ぎ出す事だった。容疑者は挙がっていたのだが、自殺してしまい真相は藪の中。無茶な申し出だが、亡姉の事件とフェイの事件が闇の中で交錯し、主人公は引き受けてしまう。主人公が、そして作者がどのような物語を紡ぎ出すか期待を持たせる出だしである。

捜査中にも、亡姉の幻想や自作中の登場人物が主人公の頭をよぎり、まさに暗中模索の進行。そして、主人公が背負う重荷を執拗に描く姿勢は、真相の解明と共に館の一家が崩壊する暗い予感を漂わせる。ここで、主人公を助けるように、招待客の女流戯曲家エリナーが捜査に加わる。エリナーは頭脳明晰、冷静沈着で行動力もあり、一歩々々真相に迫って行く。何故、女主人は初めからエリナーに絵解きを頼まなかったのか疑問である。

そして、結末で明かされる着想外の過酷な歴史の真実。確かに着想外の真実なのだが、重いテーマだけに、本作をミステリと考えると浮き上がっているのではないか。このテーマを追求する事が作者の目的なら、途中の無駄な捜査は削って、この点に焦点を絞るべきだったろう。ミステリと歴史の真実のバランスが中途半端になってしまった感のある残念な作品。
3.0 告白の苦さ
「怖い」「恐い」とのことだったので、読むかどうか迷った末に覚悟して読みだした。外国小説にある精緻な文体と構成に手応えを得ながらも、肝心の「恐怖」がなかなか味わえない。主人公の回想と依頼された過去の殺人事件がオーバーラップして行ったり来たりするのにも慣れ、犯人探しの興味が続くが、結局結末に至るまで自分はさしたる恐怖を味わえませんでした。もし、単純に「恐がりたい」
という動機で選ぶなら他を当たる方が無難かと思われます。
 
5.0 「恐怖」の恐ろしさ
クックの「記憶」シリーズは、どれも読みごたえがあり、優劣つけがたいが、衝撃度の強さではこれが一番。
怖い。
ものすごく。


50年前に死んだ少女・フェイ。みんなに愛されていた天使のような彼女を、いったい誰が殺したのか。ミステリー作家のポールは事件の究明にのりだす。

錯綜しリンクするフェイの事件とポールの過去、そして彼のつむぐ虚構の世界。
物語は、からみあいながら衝撃の結末へ導かれ、ポールのかかえる恐ろしい夜の記憶をもむき出しにする。それは、目をそむけずにはいられない、呆然とするほど残酷な記憶。


陰惨な暴力シーンの、エグいグロい描写が怖いのではない。クックのつきつけるメッセージが、あまりに容赦ないのだ。
人間、ひいては生物が持つ自己防衛本能。「私は私が大事」だということ。それは平和に裕福に、愛につつまれて生きていれば普通に受けとめられる何と言うことのない、あたりまえのこと。
それが、恐怖にさらされたときにどんなふうに働くのか。
どんなふうに利用されてしまうのか。
そしてそれを平気で利用できる人間がいるということ。
グレタの話も恐ろしいが、424ページの衝撃は半端ではない。本当に本当に、怖い。


ミステリーを読んで、こんなに考えさせられたことはない。深い。その深さは真っ暗で一筋の光も見えない。が、だからこそ強く強く心をとらえる。
世界の誰もが、なかでも私が、こんな経験をすることのないようにと願ってしまう。


深く重いテーマに怖気立つが、そこにいたるまでの物語も、みごとに構成されている。ラストもいい。傑作だと思う。
4.0 深淵を覗き込む時はその深淵もこちらを見返している
恐怖の深淵には底がない。
だから人はどこまでも堕ちていく。

主人公の中年作家ポールはニューヨークで孤独な逼塞生活を送っていたが、とある裕福な老婦人の招きに応じ訪れた別荘地で数十年前に起きた殺人事件の真相を暴くことになる。
しかしその行為はポールの少年時代を永遠に終わらせてしまった忌まわしい惨劇、美しく快活な姉がポールの眼前で惨たらしく嬲り殺された夜の記憶を掘り出すことでもあった。

「死の記憶」全編を取り返しのつかない悲哀が包んでいるとしたら、「夜の記憶」全編には拭いがたい陰惨さが影を落としている。
どちらも事件を機に少年時代が終わりその後主人公に生涯癒えぬ苦悩をもたらすが、前者が過ぎ去りし少年時代への郷愁の色合いが濃いのと比べ本作は実際に身内が残虐に嬲り殺される過程を一部始終目撃した主人公の視点で語られるため、郷愁の一言では片付けられない何とも陰惨な後味が残る。
しかも主人公は姉を見殺しにした、間接的に姉を殺したのは自分だという強烈な罪悪感に苦しみ今なお自責の念に苛まれている。

老婦人が依頼した事件の真相よりも哀しい衝撃をもたらすのはむしろポールの姉殺害事件の真相だ。

人の狂気を示す例としてナチスが行なった残虐な実験が挙がる。
母子の被験者にスイッチを握らせ徐徐に刺激を強め電気ショックを与えた上で「助かりたければ母親を身代わりにしろ」と強要すれば、子供は自分が助かりたいあまりスイッチを押さざるえなくなる。

夜の深淵には怪物が潜んでいる。
利己的で他罰的、自分の身を守るためなら手段を選ばずどんな残虐な行為すら厭わぬ怪物が誰の中にも潜んでいるのだ。

濃密な心理描写が一層サスペンスを盛り上げる佳作。
3.0 人の心に巣食う闇
「このミステリーがすごい!」’00年海外編第7位にランクインされた、トマス・H・クック『記憶』シリーズ第4弾。

ミステリー作家ポールには、30数年前、両親を交通事故で亡くし、さらにその直後、最愛の姉を目の前で惨殺されるという悲劇的な過去があった。そのため、彼は、いまや人と付き合うことも、町に出ることもなく、半ば死んでしまった人のように、その時の恐怖体験をもとに、19世紀のニューヨークを舞台に、殺人鬼ケスラーと、ライバルの刑事を主人公にしたミステリーをタイプし続けるという陰鬱な生活を送っていた。

そんな時、彼の本の愛読者であるニューヨーク郊外のお屋敷の女主人から、想像力を見込まれ、50年前、親友の少女が殺された事件を解決してほしいと依頼される。

ポールは屋敷に赴き、たまたまゲストとして居合わせた女性劇作家の協力を仰いで、当時の捜査官の残した資料を基に、事件の真相に迫ってゆく・・・。

ポールがさまざまな仮説を組み立てて、50年前の事件のベールを一枚ずつはがしてゆくたびに、自分自身の過去の悲劇が、残酷でショッキングな「夜の記憶」のフラッシュバックとなって彼を苦しめる。さらにポールの作品中の殺人鬼ケスラーのシーンまでもが加わる。

現在と過去が入れ代わり、現実と回想と虚構の作品世界が交錯して物語が展開してゆくのは、エドガー賞受賞作、『緋色の記憶』以上に複雑で、ミステリアスである。

50年前の事件の真相自体はあっけないものだったが、そこに至る過程でつぎつぎに明らかになる当時の関係者たちの暗い秘密、終盤で明らかになるポール自身の暗い闇。そしてニューヨークに帰ったポールの結末。

著者は本書で、あくまでも執拗に、人の心に巣食う闇の部分を抉り出そうとしている。

本の最新売り上げランキング - トップ10

1位 1Q84 BOOK 1
おすすめ度: 価格: ¥ 1,890  通常2~5週間以内に発送
2位 1Q84 BOOK 2
おすすめ度: 価格: ¥ 1,890  通常2~5週間以内に発送
3位 ザ・トレーシー・メソッド DVD Book
おすすめ度: 価格: ¥ 2,850  通常2~4週間以内に発送
4位 天才は10歳までにつくられる―読み書き、計算、体操の「ヨコミネ式」で子供は輝く!
おすすめ度: 価格: ¥ 1,260  通常2~4週間以内に発送
5位 ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論
おすすめ度: 価格: ¥ 1,575  在庫あり。
6位 赤ちゃんの脳を育む本 (セレクトBOOKS)
おすすめ度: 価格: ¥ 1,365  一時的に在庫切れですが、商品が入荷次第配送します。配送予定日がわかり次第Eメールにてお知らせします。商品の代金は発送時に請求いたします。
7位 忌野清志郎 ロッキングオンジャパン特別号―1951-2009
おすすめ度: 価格: ¥ 1,050  在庫あり。
8位 2‾3才からの脳を育む本―おうちで出来るカリキュラム満載 (セレクトBOOKS)
おすすめ度: 価格: ¥ 1,365  通常4~8日以内に発送
9位 やめる力
おすすめ度: 価格: ¥ 1,260  在庫あり。
10位 ザ・十和子本
おすすめ度: 価格: ¥ 2,100  在庫あり。
こちらもおすすめです
Breakheart Hill
おすすめ度: 4.0
価格: ¥ 1,041
在庫あり。
心の砕ける音 (文春文庫)
おすすめ度: 4.0
価格: ¥ 610
在庫あり。
緋色の記憶 (文春文庫)
おすすめ度: 3.5
価格: ¥ 650
在庫あり。
笹まくら (新潮文庫)
おすすめ度: 4.5
価格: ¥ 620
在庫あり。
Mortal Memory
おすすめ度: 4.0