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この人の短編集は本当に面白いものばかりです。 心理描写いつも素晴らしいです。 この本は4つの短編から構成されていますが、どれも楽しめます。 スポットライトを当てられるのが、管理部門の人間です。それだけで、他の警察小説とは一線を画しますが、読んでみて更にその内容の面白さに驚かされることでしょう。 『動機』や『第三の時効』を気に入った方は絶対に読んだ方が良いです。 その他の方も本当のオススメですよ!
本作はD県警を舞台とした短編小説4本から成りますが、 共通する登場人物で緩やかに連関しています。 警察が舞台とはいえ、カリスマ刑事を中心にドンパチやるという話とは一線を画し、 聖職に身を奉じながらも、やはり人の子、 人事と出世に意欲を燃やさずにはいられない警察官たちを動揺させる、 警察組織内の地味な事件を取り扱っています。 主人公たちは、内輪の事件の解決を一向に解決できずに苦悩するも、 最終的に、人事や警察組織の疲弊と関連した意外な真実を発見させられます。 本作は著者の警察組織に関する該博な知識が縦横に生かされていると思います。 なお、個人的に最も好きだったのは、 警察の男社会ぶりを如実に示した「黒い線」です。友子&瑞穂頑張れ!
警察小説であるが、凶悪事件を追ったのではなく、 警察組織そのものを描いた小説とは思わなかった。 ありありと淡々と描いてくれる。 社会派だけどすごく読みやすい。 ユーモラスではないが堅苦しくもない。 「周りにもこんな奴おるおる」と、 ただそのリアリティに共感せずにはいられない。
第5回松本清張賞受賞作。 この本を手にするのは、もう何度目になるだろう。 読むたびに感心させられる。 短編の、短い枚数の間に、細やかにディテ−ルを積み重ねて、リアリティのある もっといえば厚みのある小説に仕上げてしまう技巧は見事だ。 本書の32ページ真ん中辺りに、以下のような記述がある。 通された和室には神棚があった。大明神の神符が祀られている。 きちんと手が入っているとみえ、白木にくすみ一つなく、供した榊の葉にも深い艶があった。 欄間に、墨痕鮮やかな『治にいて乱を忘れず』の書が飾られ、壁には額に納まった『警察職員の信条』が、恭しく掛けられている。 この4行の描写で、読み手に、尾坂部の人となりを鮮やかに印象付けている。 しかも、この描写がさりげなく挿入されていて、 まったく不自然な感じがないところがすごい。 ディテールの積み重ねでリアリティを出すという手法は、 はまれば見事であるが、 いらないディテールまで書きすぎて、文章が冗長になり、 結果、伝えたいことが伝わらずという 本末転倒な作家が多い(若い書き手に多い)中、 ディテールの取捨選択が出来ており、 伝えるべきことは伝えるという作者の技量はすばらしい。 そして、その技量に裏打ちされたストーリーテリングのうまさ。 多くの読者がこの本を手に取られんことを。
友人に薦められて初めて読んだ横山秀夫の小説です。 多くのレビューにあるとおり、確かに面白い! 警察内部で起こる事件を背景として、 丹念に描かれた立身出世の羨望や計算が主人公をかきたて、 ストーリがーテンポよく進行していきます。 もちろんスリリングな筋書きだけでなく、 予期せぬ驚きの結末にページを繰る手が止まりません。 本書の最後に収められている「鞄」を読む終えると同時に、 同氏の文庫本を買い増してしまいました。