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ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫)

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ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫)の商品レビュー

5.0 自ら命を絶とうとする友に私は何ができるのだろう
 云わずと知れた四肢麻痺・天才リンカーン・ライムシリーズの第一作です。
ミステリー好きであれば、必読のベストセラーですが今更ながら未読でした。
先送りしていたのは訳があります。E・ワシントン主演の映画版を一度見たことが
あるのですが、首から上しか動かないE・ワシントンが映画としてはなんとも地味
だなぁ、といった印象で、結末も覚えてさえいなかったからです。

 巧妙で、猟奇的な犯行に対して(1999年時点のですが)最先端の科学鑑識技術と
ライムの図書館並みの博学、洞察の緊迫した対決を縦糸に、女性巡査アメリア・
サックスとの関わりを横糸にしてストーリー展開をしています。何かと縦糸が
注目される本作ですが、何時も自殺する事を考えている身障者としてのライムの
苦悩と、何もできない、でもライムに生きていて欲しいと願うサックスの思いの
葛藤が読ませます。恋愛関係になる事はありえない仕事のパートナーでありながらも
本音で話し合い、苦楽をともにしてできる限り一緒に歩いていきたいと思う異性
との関係は現実の世界でもありうる事なのではないでしょうか。その究極の条件
付けとして肉体的な関係が不能なライムと、男性との恋愛関係が不能なサックス
といった取り合わせになったのは偶然ではないでしょう。現代では恋愛不能な
シチュエーションを作るのには、ここまでしなければ二人に立ちふさがる壁を
設定できないのかと思いました。

 印象的なのは、自殺を思いとどまらせようとサックスがライムに議論を挑む
場面です。ライムの自殺感は衝動的ではなく、苦悩の中で考えに考えつくされた
哲学の域に達しているため、誰も彼を思いとどまらせる事はできないと思いました。
言葉で自殺者を救う事の難しさを痛感させられます。本作はそんな生死感や
死にたくなるほどの孤独、苦悩に友人として何ができるのかということを
考えさせられました。
3.0 「ロカールの原則」を作者と読者にも適用して欲しかった
ライム・シリーズの初作で作者の代表作と言われている。真夏のニューヨークで起こる猟奇連続殺人事件と言うありふれた設定。これを補うかのように、主人公の天才犯罪学者ライムを自殺志願の四肢麻痺患者と言う設定にし、フトした事から彼の手足となるのはトビキリの美人捜査官アメリアと言うあざとさ。殊に上巻では、肝心の物語のテンポが悪い。もっと犯人との心理戦を中心とする事件そのものを書き込むべきだったろう。ライムの自我や天才性を強調して描こうとする余り、焦点がボケて展開が緊迫感に欠ける。上巻でライムに反発しているアメリアが後半、心を開くであろう事も容易に予測できる。FBIと市警の確執も型通りだが、型破りのFBI捜査官デルレイの造詣は中々のもの。

アメリアの突然の心変り辺りから物語はようやくテンポ・アップする。アメリアを捜査の最前線に立たせれば緊迫感が増すのは自明なのに。世界貿易センター・ビルが登場するのは怖ろしい偶然。ライムの回想や過去の類似事件の断片が示され、ようやく犯人像が見えてくる。アメリアを窮地へ追いやるのは常道だが、結末は見え透いているだろう。ドンデン返しの名手にしては着地点が凡庸。

作者の衒学趣味に付き合わされて長い物語を読まされた割には得るものは少なかった。「ロカールの原則」を作者と読者にも適用して欲しかったと思う。
4.0 割り切って読めば…
この種の作品に拘りは不要。純粋にエンターテイメントとして楽しめれば十分…ということなのだろうがヒーローが「頭脳明晰」で「超ハンサム」な「重度障害者」、かつパートナーが「超美貌」というあまりにも能天気な設定にはどうしても無理を感じてしまう。個人的にはFBIのデルレイが最も魅力的だったが最後にはただの「いい人」になってしまうし…。「歯」だけで犯人と対決するクライマックスはいかにも肉食人種的であり、日本人にはちょっとついていけないか?
4.0 シリーズ制覇しなくてはっ
半身浴の友に長くて気軽に楽しめる小説を探していてランキング上位だったので読んでみました。映画は過去に見た記憶があるものの内容を覚えていなかったので同時にレンタルもしてみたり。映画も小説もずいぶん前のものになっていることもあり最新の科学捜査の技術などは正直物足りなかったり、時代背景(パソコンや携帯、通信技術)などもどうしても古さを感じてしまうのですが、ミステリーとして十分に楽しむことができました。引き続きシリーズを制覇していくつもりです。余談ですが、個人的にいま健康上の問題を抱えていて、もちろんその状況は比較できるものではないけれど、リンカーンという人のその才能と四肢麻痺という絶望、それを乗り越える過程がきちんと描かれていてとても共感し自分はまだまだ手も足も動くじゃないかと強く勇気づけられている自分がいました。ミステリーやサスペンス物でそのように感じさせてもらえたのは意外でした。アメリアの抱える孤独のようなもの、リンカーンとの関係性の変化にも違和感がなく今後の展開も楽しみです。
3.0 本を先に読みたかった・・・
出張帰りの男女が空港でタクシーの運転手により拉致される。男の方は生き埋めにされ薬指の肉をそぎ落とされた状態でパトロール警官雨リア・サックスにより発見された。その被害者の発見に対して助言を求め数年前の事件現場の鑑識時の事故で四肢麻痺患者となったリンカーン・ライムの元へかつての同僚が訪れる・・・

リンカーン役をデンゼル・ワシントンが演じ映画化された同名映画の原作である。少し前にこの作者の短編集を読み,非常に読みやすく長編を読んでみようと思い立って手に取った。翻訳物が苦手な自分なので,やはり出だしは多少とっつきにくかったものの後半は荒筋に『ジェットコースターサスペンスの王道』の名に違わない面白さであった。映画を数年前に観ているだけにストーリーが読めてしまったのがもったいなかった。本から先に読んでおけば良かったと後悔・・・

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