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無頼の掟 (文春文庫)

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無頼の掟 (文春文庫)の商品レビュー

4.0 ボニー&クライドを彷彿とさせる
映画「俺たちに明日はない」(ボニー&クライド)を彷彿とさせる雰囲気がありました。

犯罪(強盗)の緊張感と、目的を果たした満足感。犯罪を積み重ねる毎の、
達成感と仲間同士の絆の深まり。しかし、非合法な達成感は、生命と人生
の賭けの裏返しであることも当然です。しかも、長続きせず、仲間にも
亀裂と別れが生じます。

この感じが良く伝わってきました。

同時に、ジョン・ボーンズという、息子を殺された冷酷・非常な保安官補が
復讐鬼となって追跡する様子も作品に緊張感を加えていました。
3.0 読書の姿勢が悪かった反省
主人公ソニーは双子の叔父バックとラッセルと共に銀行強盗を働くが不運見舞われ1人だけ捕まってしまう。しかも裁判の収監中に看守を殺害し,短くても10年の判決を受ける。その後なんとか刑務所を脱獄したソニーの背後には殺害した看守の父:鬼刑事ボーンズの影が忍び寄る・・・

発行順は逆になるが先日読んだ同作者の『荒ぶる血』と時代背景と舞台となる土地が同じ禁酒法時代の南アメリカである。また,多少登場人物も重なる部分もある。読むのに一月もかかったため,物語に対しての興が冷めてしまって,非常にもったいなかったほど,物語としては『荒ぶる血』同様の面白さであった。自分の読書の姿勢の悪さもありなかなか読み込めなかった。本に対して失礼な読み方をしたなぁ・・・
4.0 無頼の掟
カルロス・ブレイク、格好良さにとことん拘ってるところが素晴らしい。当然ケレン味もたっぷりだが、修羅場は素っ気なく、日常風景を入念に描き込むという、スカしたスタイルから生まれるクールな魅力。

きちんとした教育を受け、能力も人並み以上ではあるが、人並みな人生に何の意味も手応えも感じられない「おれ」が、強盗、強奪を繰り返しながら成長して行く。それがリリカルに描かれていて、ピカレスクな青春小説として魅力も相当なもの。

「おれ」の資質をいち早く認め、その道へと確かな導きをしてくれちゃうのが双子の叔父達というどうしょもなさ。このキャラクターの味付けが素敵で、物語の進行には関係ない叔父達の減らず口の応酬は効果的で、面白さのベースになっている。全体は「俺たちに明日は無い」なのだが、善悪を価値判断の基準としていない分、軽快に読ませること。

ひたひたと迫ってくる伝説の悪徳警官の描き方がスパイシーでカッコいい。女の絡ませ方はうまいし、アクションもしのぎもリアリティーに溢れ迫力もたっぷり。このミス3位に、何を今更てなもんだが、このセンス、このカッコよさには脱帽。
4.0 いろんな要素を併せ持った青春アウトローストーリー
「このミステリーがすごい!」’05年海外編第3位にランクインした作品。

原題は「泥棒(無法者)たちの世界」。1920年代、禁酒法時代のルイジアナ州からテキサス州にかけてのアメリカ南部を舞台にした青春アウトローストーリーである。

まず冒頭の銀行強盗のシーンから一気に物語に引き込まれる。
強盗は失敗し、18才の‘おれ’ことソニーひとりが逮捕される。
M収容所での過酷な収監体験や、決死の脱出劇、そして再び叔父たちと合流して強盗稼業に手を染めるべく広いテキサス西部を目指す。

そんなストーリーの展開が‘おれ’の一人称でスピード感をもって語られ、くいくいと読み進んでしまう。

この物語は単なるアウトロー小説という範疇には収まらない。緊迫感あふれる犯罪小説(クライムノベル)、冒険的要素もふくんだロードノベル、爽快な悪漢小説(ピカレスクノベル)、そして危なっかしくも次第に成長してゆく‘おれ’のみずみずしい青春小説である。

またサイドストーリーとしては、息子をソニーに殺され、復讐の鬼となり彼をひたひたと追い詰める、冷血かつ凄腕の元保安官補ボーンズの影も忘れてはならない。

本書はいろんな要素を併せ持った、本文中に合言葉のようにしばしば出てくる「先のことはわからない」に象徴されるアメリカ“繁栄と狂乱の20年代”の一面を描いた実力作である。

5.0 命の矛盾と葛藤を載せたアウトローたちのロード・ノヴェル
 微熱のように残る作品である。多かれ少なかれ、現代という都市性に委ねられた我々の日常生活から、いかに遠く隔たった場所へ連れて行ってくれるかというあたりは、小説というスタイルの醍醐味であるが、それこそこの物語は1920年代、禁酒法時代のテキサス。ジャズの街、ニューオーリンズから、荒くれた無法地帯である西部油田地帯へ、ロード・ノヴェルと、過去へのフェイド・バックを交えながら、丹念な歴史絵のタペストリーの如く紡ぎ出されてゆく。

 『ワイルド・バンチ』を意識させるような、冒頭の銀行強盗シーンに始まる衝撃のストーリーは、過去に旅し、主人公の中に夢と冒険と無法とをいっしょくたにさせたような、荒くれた気分が誕生してゆくプロセスを念入りに、探る。これが、思えばラスト・シーンへの助走であったことを悟らされるのに、まるまる一冊の物語と、登場人物たちの山のような死体が必要となる。

 すぐそこに死が潜んでいるビジネス。それが犯罪である。犯罪稼業には、濡れ手に粟といった愉快さに、非業な死や肉体的損壊といったリスクが共存する。そうした中にいないと燃えることのできない男たちと、奴らを中心に回ってゆく擬似家族たちの運命共同体が、内部の葛藤を繰り返しながら、性と暴力にダンスしてゆく姿は、やはりピカレスク・ノワールの、とてもオーソドックスで正攻法な切り口であるように思える。

 未だ書かれていなかったことが腑に落ちないくらいに、正攻法な小説である。けれんみのないストレートな一人称話法に、接近する大低気圧みたいな冷血の復讐鬼。アナログでとても人間味のある悪党たちと、非常に機械的に処理し、自らの復讐劇をプログラミングしてゆく無表情な復讐者は、あたかも自然の摂理に基づいて動く森の中の原始的な生態風景のようでもある。

 そのくらいに都市文明がものを言わなかった、人間たちが丸はだかであった時代と場所。美しい陽光が空気を斜めに断ち切り、真っ赤な溶鉱炉に変えるような神がかり的に美しい世界。性も暴力も、まるで陽が昇り、そして沈んでゆくだけのことのように、流砂の物語として、こぼれてゆく。ただただ熱い血のうめきだけを、生存者の体内に残して。

 タフで、熱気溢れる男たちと、関わりあう女たちの世界。プリミティブなアメリカの光景を満載した、硝煙香る死のプロットである。

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