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トワイライト (文春文庫)

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トワイライト (文春文庫)の商品レビュー

4.0 おもしろいし重要なテーマを描いているが、いくつか不満な点も...
 重松清がNHKのテレビ番組にゲストで出演していたのを見た
時、なかなか冷静で包容力の大きな人だと思い、どんな本を
書くのだろうと思って買ってみた。

 まず、最初の方は、非常におもしろかった。タイムカプセル
を開けるために集まったり、先生の事件の話あたりまではかな
り熱中して読むことができた。

 だが、後半は、読み進めながら複雑な気分になった。リスト
ラや、若い時代に人気を誇っていた女性のその後、不治の病と
いった、人生における"トワイライト"の部分の記述は、誰にで
も起きうる問題であり、この本は人生の現実を我々に提示し、
我々に現実を直視するきっかけを与えてくれる。しかし、個人
的には、家庭内暴力の部分は、他の関係で代替してほしかった
と思う。それは、リストラも人気凋落も病気も、本人にはどう
にもならない要素であり共感できるのに対し、家庭内暴力は第
一にはふるう人間の問題であり、読んでいて、徹夫に対して怒
りが向かってしまったからである。

 また、描かれているのが数日間の出来事であるためではある
のだが、登場人物間で頻繁に場面が入れ替わるため、場面が入
れ替わる度に、どの登場人物の場面を描いているのかを把握す
るためにしばらく読み進める必要があり、煩わしかった。テレ
ビドラマなら、場面が入れ替わっても、登場人物や風景が写れ
ば瞬時に場面が把握できるが、文章でこれをやるのであれば、
場面の転換ごとに、冒頭に(淳子のマンション)(杉本の病室)
などのようにわかりやすい説明がほしかった。

 まあ、そういう点もあるが、特に最初の方のおもしろさには、
自分はかなり引き込まれたし、文章や内容からも作者が知性的
であることが感じられて好感が持てたので、評価は星4つとした。

 ただ、最後、離婚届の決着が、納得がいかなかった。これは
本当に希望をもたらす選択なのだろうか...。
4.0 登場人物が自分にとっての未来にいるからこそ
「太陽の塔」「ドラえもん」そして「トワイライト」…

いくつもの「時代」を表す象徴がちりばめられる中で、あえて題名にある「トワイライト」は最も不変であり、だからこそそこにあるメッセージに気付きにくいのだろう。

メッセージ自体は単純なものだ。
でも、そこに至るまでの人物の現状や時代の流れの残酷さが重く、読者も「でも最後はきっと…」と感じずにはいられないのではないか。

軽く言えば流れてしまうそのメッセージをここまで胸に焼きつかせる作家さんもいないと思う。

自分の年齢から言えば、この作品に登場する人物は未来にいることになる。

それを思うと家族の崩壊やリストラなどを扱っていること(しかもそこにある心理描写が巧みであること)が恐ろしくて仕方ない。

読み手の問題なのだろうけど、重すぎるし、苦すぎると感じた。
4.0 1970年代の小学生たち
1970年代の小学生たちが、21世紀を超えてタイムカプセルの開封を機に再会。大人になり、色あせた上辺だけの生き様に苦しむ元少年少女。彼らの求める「幸せ」な人生とは果たして、どんなものなのか。ドラえもんのキャラクターに当てはめられた登場人物たち、それぞれの不器用な生き方がリアルに描かれている。
5.0 人生の黄昏
大阪万博のシンボル、太陽の塔、輝かしい未来を予想させたあのイベントからはや40年もの歳月が流れているんですね。
重松氏と同年代の私にとって、本書に出てくる登場人物はすべて自分の同級生のようで、読みながら何度もため息が漏れました。
「あの頃」しっかりものだった真理子は今は同じ同級生だった「ジャイアン」こと徹夫と夫婦になり、二人の子供を授かりつつも、DVの恐怖の中で、夫婦関係を見直そうとしている、「あの頃」の「のび太」こと克也はリストラの憂き目に会い、家族の行く末を思い悩んでいる。「あの頃」からおとなしく勉強家だった淳子は若かりし頃「古文のプリンス」の異名を持つ売れっ子の予備校講師だったが、今は…。
さまざまな現実を抱える者の中で、「あの頃」と変わらない純真さで、社会を生きている浩平、そして命の瀬戸際でタイムカプセルを掘り返す新聞広告を出した杉本。二人が同級生の「今」を結びつけ、これから先の未来の希望をつないでいく。
40代=人生の黄昏(トワイライト)とは思いたくはないけれど、人生をやり直すには勇気のいる年代には違いなく、家族や仕事、いろんなしがらみから離れることはできない。「あの時」ああしていれば、という後悔の一つや二つ、誰もが持っているはずです。
小学生の頃の同級生に会うことで、希望にあふれていた「あの頃」を苦い気持ちで振り返り、一時「夢」を見るものの、やはり皆が「現実」との折り合いをつけていく。
40代以上の読者には感銘を受ける書となるでしょう。
4.0 苦さと懐かしさ
小学生の時に埋めたタイムカプセルを開封するために集まった同級生達。彼らの「現在」はしかしそれぞれに極めて厳しい。ドラエモンののび太といわれた克也は会社でリストラ寸前、ジャイアンの徹夫と真理子の夫婦は家庭内暴力で離婚寸前、まだ一人ものの淳子は、古文の有名講師としてもてはやされた時代は終わって斜陽の予備校教師。カプセルからは不倫の末惨殺された当時の教師白石の問いかけ「幸せですか」のメッセージ。特に徹夫夫妻は仮面の夫婦を演じることも出来ずに、家庭崩壊を皆の前でさらすことになる。彼らの未来は、という問いかけに答えるがごとく皆はまた10年後に開封することを約束してタイムカプセルを埋める。ちょっと苦味と懐かしさが入り混じった彼らの人生。いや全ての人たちの人生はこのようなものかもしれない。自分にとっても小学生の頃は未来にこのようなものを託すことが出来る時代であったと思う。なかなか面白い作品であった。

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