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残念ながら私には理解不能の世界であります。。。。 芥川賞。。。。なのか。。。。
多分誰しもの中にハリガネムシは寄生している。 例えば、取り返しのつかないことをしてみたくなる衝動、 他人にひどいことをして見たくなる衝動。 衝動までは好奇心にすぎないが、行動を起こした時点で悪に変わる。 100%綺麗な心なんてものはこの世に存在しない。
表題作と、「岬行」。 ハリガネムシってカマキリなんかのおなかに寄生する虫らしい。人間にも寄生した例があるとか。。。 物語の題名は、人に寄生する(潜在的に持っている)悪をハリガネムシとして比喩してつけられたものだろう。 下流社会という言葉がはやっているが、まさに下流に生きる女と、中流家庭に育つ中流ホワイトカラーの教師とのアンバランスな関係が生み出す物語。 数々の暴力シーンは後半からだが、今ひとつ心に届かなかった。 表面的に痛々しさを感じるだけで、そこからあぶりだそうとしているものや、強い世界観を見せられることがなかった。 こちらの心に衝撃を与えるトドメの表現が足りなかったといったほうがいいかもしれない。 それよりも、「岬行」のほうが、気に入りました。こちらのほうが、うまく世界観を見せられた気がした。
この気分の悪さは、書かれている事象からでは無いでしょう。 残酷さや悪意をことさらに描いた小説は多々あります。しかしこの作品は、書かれている事象にしろ書き方にしろ、そうした積極性のある表現からはもの凄く遠いところにあります。むしろ勤勉や向上心、積極性や社会的モラルなど、一般的に読者の共感を呼ぶものを、一切描いていないところが不快感を呼ぶのではないでしょうか。確かに醜く酷い話ですが、残酷さや悪意については、ポジティブな要素の抜け落ちた空虚な箱の中で、細いハリガネムシがのたくっているのを見る程度の卑小なイメージしか残りませんでした。 まあとにかく不快な作品なので、読んで楽しい気分になることはまずありません。ただ、主人公が次々と行う反モラル行為、作者が次々と取り上げる不快なディテールの数々には、自分が想像したことのあるものは全く無い、自分には無縁のことだ、と言い切れる人は少ないと思います。作品に表現されているレベルの1/100くらいは自分にもこういうところがあるかも知れない、という思いが頭をよぎることに、あるいは意味があるのかも知れません。誰もが持っている微細な負の要素、それを際限なく拡大すると世界はこんな醜い様相を呈するんだよ、と示されているような気もします。 併録の「岬行」はハリガネムシと双子のような話で、ハリガネムシの描いている過激な事象をよりおとなしい事象に置き換えたような作品です。ハリガネムシで目に付いた残酷さや悪意の描写が無くても、全く同じ醜い作品世界が作り出されていると言う点で、読み比べてみると面白いと思います。
悪を描ききった作品。 との帯だが個人的にはそうは思わなかった。 単純に「人間」を正直に描いた結果が、悪に写るのではないか。 第129回芥川賞を受賞とのコトだが、芥川賞らしい作品と言うべきか。 内容は、 「ハリガネムシ」「岬行」の二作品からなるが、 やはり強烈な印象を残すのは「ハリガネムシ」の方。 教師である主人公は、ソープランドで知り合ったサチコと、 ほぼ済し崩し的に同棲生活を始め、徐々に異常性を増していく。 次第にエスカレートする暴力への衝動は、 自殺未遂の手首の傷に自ら指をもぐらせ、穴をうがつ、といった行動に発展する。 主人公はじめ、登場人物の異常性のみが目立つように感じるが、 なぜかそれが自然の行為のように感じてしまう。 それは単なる「悪」ではなく、人間の根本的な欲求や行動を描いているからかもしれない。 正直、気分が悪くなる小説ではあるが、 単なるエログロとは違う、「人間」というものを考えさせられる作品。 個人的に読んで良かった作品だと思う。