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管仲は中国の春秋時代に活躍した政治家で、この「管子」はその言行録を纏めたもの。桓公が覇王となるにあたってその立役者となったのが管仲である。 儒者の標榜する徳治、即ち君主の徳によって人民を教化し国を導くというような甘い理想主義は廃し、「物資が豊かになって行き渡り、生活が困窮しなければ民は治まる」と物質的な充足による統治を貫いた。また、「君、君たらざれば、すなわち臣、臣たらず」(君主が君主としての役割を果たせないのであれば、臣下もその役目を果たさなくなる)の言葉に見られるように、忠誠とは無条件のものではない、という人間関係への眼差しにも現実的な考え方が垣間見える。 政治思想としては基本的に重農主義による富国強兵を目指しており、商業に対しては厳しめの政策で臨んでいる。なにしろ今より二千年以上前の時代の話であって、管仲の政策がそのままダイレクトに今にも通用するというわけではないのは当然だが、根幹を成す考え方は今でも充分に参考にできるものが多い。 また、「管鮑の交わり」で知られるような鮑叔牙との深い友情、主君の死に際しての決断など、管仲その人の人生も充分にドラマティックで楽しめる。徳間のこのシリーズには本文の前に「解題」があり、あまり中国思想や歴史に馴染みのない人でも概要を掴めるようになっているのだが、この「管子」は同シリーズの中でもっとも「解題」が面白いと思う。