「オタク」の域を脱し切れていないのが残念
以前から評判が良かった「ほしのこえ」。ようやく観ることができました。
但し私が見たのはオリジナル版ですので、そこのところ予めお含みおきください。 何より、背景の描写がすばらしい。細かく彩りも鮮やかで、この背景だけで個展を開けるんじゃないかというくらい良く描けています。
またメカニックデザインにもこだわっていて、トレーサー(という名のロボット)から発射されてミサイルが、難解な軌跡を描きながらそれでも的に命中するところは、マクロスファンとしては、感無量のものがあります。
新海監督は、よくこんなものを一人で作ったと驚きを隠せません。
しかし、よろしくない点もあります。
背景や人物、そしてメカニックの設定に比べ、ストーリー設定があまりにも貧弱です。
そもそも、人類未踏の8光年先の天体まで、補給ラインも確保しない(ように見えます)で艦隊を送り出すのは、軍事常識から言って殺人行為ではないのか。もし、補給ラインがしっかり確保できているのなら、なぜ美加子と昇はその補給ラインを使わずに時間のかかるメールでやり取りしているのか。理解に苦しみます。
補給を侮ってはいけません。
そもそも戦争というものは補給の有無で勝敗が決まることが多く、太平洋戦争での日本軍もそれで悩まされたものだし、ガンダムでもホワイトベースへの補給のために、マチルダ中尉は殉職したのですから。
また、声優の滑舌が非常に悪いのも気になりました。さらに台詞が効果音にかぶってしまってよく聞き取れない所が何箇所かあったのがつらかったです。DVDだから逆戻しできてよかったものの、劇場公開でこれだったら、目も当てられなかったでしょう。
ただ、声優関連で言うと、リシテア艦オペレーターにDonna Burkeを起用したことは評価できます。
結論を言うと、非常に作りこんであるのは分かるが、ストーリー展開が浅すぎて、オタク以外の人が観るに耐えるかどうかは正直微妙なところです。
まあ、今回は短編ですので、次の「雲のむこう、約束の場所」をぜひ観てみたいと思いました。