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死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う

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死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思うの商品レビュー

5.0 人の心を取りだしてそのまま文字にしたような、そんな本
死刑制度に対して真剣に向き合い、煩悶を繰り返しながら自らの答えを模索していく著者の苦悩をありのままに綴った一冊です。

廃止、存置派、両の意見に耳を傾け、自らの考えや葛藤、困惑、矛盾など些細な心の揺れ動きまでありのままに載せており、死刑制度について共に考えを深めていこうという論調で書かれています。

最終的に著者は自らの立ち位置を決めるわけですが、内容としては終始問題提起本となっています(廃止寄りではありますが)

著者は読者に対して答えは与えてくれません。どの立場をとるのかは自らで考えなくてはいけません。

存置派の人も、廃止派の人も、中立な立場の人も、死刑なんてどうでもいい人も、本書を読めばきっと混乱すると思います。そして考えると思います。

問題提起本としては非常に秀逸です。
4.0 迷いの書だと思います。
これは「迷いの書」だなあ…と思いました。ちょっとナイーブ過ぎるところもありますが、自分自身死刑制度については迷い続けているので、読みながら揺れてしまいました。
加害者や、加害者の家族の話を読めば、「死刑制度は廃止した方が…」と思うし、被害者や被害者家族の話を読めば、「やっぱり死刑という極刑は必要だ…」と思ってしまう。
作者も迷いながら取材を続けていて、いったいどんな結論を出すのだろう…?と興味深く読み進めるのですが、ちょっとその結論あたりに納得出来ない部分があります。
え?いつそっちの結論になったの…?みたいな。

結局、当事者にならない限り、結論なんて出せないのかもしれません…。
何よりも、死刑制度について、普段そんなに考えることなどないのが普通だと思います。
そして、死刑という制度や、実際の処刑の実情、死刑囚に対する処遇、それらに対して、あまりにも無知である…ということ。知らないということにすら気がついていないということ。
それを考えるきっかけになる本だと思います。そして共に迷い、揺れながら考えてみるのもいいかと…。

この本を読んでいた時に、足利事件の冤罪のニュースが流れました。
うーーーーん…と、また考え込んでしまったんですねえ…。
結局私自身は、いまだに結論は出せないままです。
4.0 存置/廃止のその先に何を見ているか。
オウム真理教のドキュメンタリー映画『A』、『A2』の監督である森氏が
元オウム真理教幹部に面会し、付き合っていく中で、拘置所にいる彼らの多くが
死刑囚であることを切欠として、死刑とは何か、その非常に重苦しいテーマに
迫り、考察した本です。

死刑に関わる人々、つまり死刑廃止派や存置派、教誨師、元裁判官、元検事、
弁護士、被害者遺族、そして死刑囚、彼らに直接、或いは文通などを通じて
間接的にインタビューを重ねながら、余りにも情報が少ない死刑という深淵に迫ります。

一貫して廃止の立場から死刑を論じ、どのようにして結論を持っていくか
逡巡しているようにも見えますが、森氏が導き出した結論は、調べるほどに問題を
内包しているように思える死刑制度について「百人いれば百通りの死刑がある」、
つまり死刑制度についての受け止め方は多様で当然である、ということです。

しかしながら、本書で強調しているように、大切なことは、立場が存置にせよ
廃止にせよ、今よりも少しでも良い社会にするという目的に向かってベクトルの
先が同じ方向を向いていること。

そこを拠りどころに思考を停止させず、死刑制度を認めている国の国民であると
自覚しておくことが重要であることを本書では訴えています。
5.0 冤罪について目から鱗
本書の特長については他の方々のレビューに譲るとして、
冤罪死刑の可能性についても入門書になる一冊だと思った。
冤罪で吊るされていった命、冤罪で確定死刑囚として人生の
大半を奪われた人々、しかも後者は無罪放免になっても
故郷に帰れないと言う哀しさ、これらの事柄に我々はあまりにも無知だ。
日本社会が死刑を排除するか、存置するか考える時
濡れ衣を着せられたまま死刑になった、いや国家権力に殺された人々
がいることも知らなければならないはずなのに
なぜこんなに情報が少ないのかと唖然とする。
それは勿論、冤罪で死刑になった死者が口を開いてくれることは
ありえないばかりか、無罪放免になっても再審請求等で消耗しきって
社会に訴えることも出来ないからなのだろう。
ならば社会の方から彼らに耳を傾け注意深く聴く必要があるのではないか。
本書で紹介されている冤罪事件についてこれから調べようと思った。

そして無実の命が不当に奪われる可能性が残る限り、私は
死刑廃止派に鞍替えすることにした。
(もしくは存置のモラトリアム状態を望む)
あまりに無知であった自分に赤面する想いである。
4.0 結局は自分の「好き・嫌い」の問題
死刑廃止派・存置派、様々な対象に長期に渡り取材を重ね、著者は結論を出す。「多くを殺した人でも、やっぱり殺すことは嫌だ。反省した人でもしていない人でも、殺すことは嫌だ。犯罪を重ねる可能性がある人がいたとしても、それでも殺すことは嫌だ」
著者は自分の好き嫌いでしか物を考えられないらしい。これではヤフーニュースで「犯罪者は死刑!」と連呼する痛いコメントと一緒である。
しかし誰がこの問題を論じても、当事者(犯罪被害者・加害者)でない限り、著者と同次元の結論にしか辿り着かないのかも知れない。
上記の意味でも「あすの会」幹事の主張は本書で最も説得力がある箇所であり、ひとりでも多くの方に読んで欲しい。私はこの本を読んで、死刑の問題よりも、犯罪被害者とその遺族に対する精神的・物質的なフォローにもっと目を向ける方が大事だと思った。
何故、著者は死刑囚に対する過剰とも言える想像力と慈悲心を、被害者や遺族の方に向ける事ができないのか?つくづく理解に苦しむ。

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