ドキュメンタリーのような本
大学や大学院などで、ITを使って、授業や講義を世の中に公開するといったことが行われ始めている、ということは、新聞などで知っていた。自分が大学生だったころとは、隔世の感がある。本書は、そうした現場の様子を伝えるドキュメンタリーのような本である。東京大学で運営されているeラーニングサイトの現実を余すところなく伝えている。利用しているシステムは素朴であるが、無駄はないようにも思える。
本書の最後には、東大で使っているシステムの運用マニュアルがのっている。このシステムは、ただで公開されているらしいが、こうした試みは非常に貴重だと思う。こうした試みをきっかけに、地方大も活性化すればいいのに、と思う。
理にかなったeラーニングサイトの運用の提案
本書は下記のような内容から構成されている。1) 大学とeラーニングをめぐる基礎的知識、現在の動向
2) 東大のeラーニングサイトを運用する際の筆者らの経験とノウハウ
3) 筆者らが無償公開しているシステムの使い方について
である。
本書を一読した感想として、筆者らが追求したかったのは、
合理的で、かつ実現可能性の高いeラーニングサイト
をいかに運用するか、ということであったように思える。
本書はまさに「eラーニングの現実」を伝えようとしている。
筆者らは、そうした「現実」を伝える方法として、それに関係した
様々な人々の生の声のインタビューを用いている。こうした生の
声を通して、現場の苦労や工夫に関して知ることができる。
本書は全くシステムにはこだわってはいない。
それよりもむしろ、そうしたシステムをいかに運用するか、
について、詳細に述べてある。
大学でeラーニングサイトを運用する人にとっては必携の書である。