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夢を与える

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夢を与えるの商品レビュー

2.0 その先が読みたかった
最後のページから始まる小説だったら面白そうだったのに、と読み終わって思いました。
主人公夕子が育つ過程が、ほとんど意味がなかったような気がします。
つまらない人生の途中で大きな恥や挫折にあって、その後主人公がどう生きていくかがほんとうに「夢を与える」とかその辺にかかわってくるのではないかと。
5.0 とても良いと思います。
まず、他のレビューを拝読しましたが、なぜ作者が「夢を与える」という言葉を題名及び題材にしたかの真意が本の内容から伝わってない読者の方が多いのが残念でした。
表題から単に夢や希望を与えてくれる内容を期待されたのでしょうが、ありふれた陳腐な感動ストーリーなどは綿矢氏自身今は書きたくないと思います。(推測ですが)
まだ作者自身若いですので、深くなお且つシンプルな、恋愛や人生の真理や真実はまだ色々と人生経験して何かを悟ったと思う時に書けば良いと私は思います。


前書きが長くなりましたが、レビューとして、

デビュー作の「インストール」、芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」は以前に読みましたが、
それらに比べて、作者も大人になって文章力はとてもよく成長していると感じました。
内容や文体の斬新さや、若さを出した独特の書き方は少なくなりましたが、
小説家らしい文体になっています。
ですが、綿矢氏自身の個性のある物事の捉え方や描写は相変わらず出ています。
文体は小説家らしいですが、
凡とした小説家にはない鋭い観察力からくる描写はとても素晴らしいです。
時折見せる綿矢氏自身の観念を書いたと思われる鋭い言葉は読者の読む流れを止めてくれて、そこの真意を深く考えさせてくれます。

上記に書いたような変化は作者自身の意図的なものでしょう。(推測ですが)
綿矢氏自身理想の作家像があるのでしょう。
若くして芥川賞を獲ってこの若さでこの文章だの、斬新な描写力だの、アイドル的な容姿で一時的な流行でもちはやされるだの、自分自身の状況がよく分かっていたのだと思います。
綿矢氏自身、本物の小説を書きたいのだろうと思いました。


内容は、

今の芸能界、TV業界の真実をよく風刺し、よく表したものだと思います。
この作品を視聴率取りの為だけのTVや、携帯小説など流行に便乗して金を巻き上げる映画業界に対して、
それらの業界の汚い部分を書いて、逆にドラマ化や映画化してみて自分達の業界の醜態をさらしてみろといわんばかりの内容です。
この部分にも前述した彼女の作家としての意思が伝わってきます。
この作品をドラマや映画にすると逆にTVや映画業界も捨てたものではないな、と思いますが、実際無理でしょうね。


一見リアリティに欠けた話と思う方もいますが、
恋に堕ち、恋に没頭して若さ故の過ちを犯してしまう10代の女の子の言動としてはよくある話です。
世の中の、表面的な綺麗事だけではない、リアリティのある汚い世界の現実や、人間が足を踏みはずす現実をよく表現していると思いました。

最後に、私は前2作の様な斬新的、個性的、その年齢の割にこの文章、といった内容のものより、内容は地味ですが、遥かに優れている作品だと思います。
綿矢氏自身のこれからの成長の具合に寄っては、将来の大器の片鱗を見せてくれたものだと思います。
近い将来、もっと成長した作者による「本物」の小説が楽しみです。
2.0 取材倒れ
作者は何らかの取材を行ったでしょうが、これは70−00年代の芸能界が物凄くちゃんぽんで交錯しているありえない世界が背景です。夕子もそこらのアイドルをつまみ食いして結合させています。
子役の頃の溌剌さも純粋さも感じ取れず、その後の展開もあらゆる意味で不自然です。また、作者の責任ではありませんが日本の芸能界において少女タレントという世界が題材にできるのはごく限られた過去の一時期です。盛り上がりようがありません。セックスしない世にも稀なるセクシー聖少女とかいうのなら意外性もありますが、勝手にセックスに狂えばいいではないですか。
ただ、こういったトレンドと絶妙によじれた殺伐たる混沌が作者の持ち味です。次回は自分に合った背景を設定するといいでしょう。
3.0 だれに「夢を与え」たのか?
途中まではそこそこ面白く読めたのですが、
最後は読んでいて辛くなりました。

辛くなるとは、切ない気持ちとかそういうものではなく、
「ちょっとあり得ないだろ」とか「え、どうして?」といった
疑問点ばっかりが浮かび、読んでいて「辛い」という意味
です。
4.0 前2作と、同じ雰囲気は期待せずに、お読みくださいませ
これまでの2作とは異なっていました。

コレまでの、2作は作者の投影を
感じられたのですが、今作は創作へ
重心が移されているように感じられました。


『夢を与える』
賛否両論はあるようですが、
作品内でもキーワードになっていて
私は「よい」と思いました。

途中からは、
現状の作者自身が
主人公と重なり合ってるようにも見えました。

だとすると、
好きなことをしていたはずなのに、
その好きなことが、重荷になり、
更に嫌いにもなってしまいかけている、
心の葛藤をかかえているのかな、と。

途中から、
そんな思いが頭を離れず、
終盤に近づくにつれ、少々息苦しくなってしまいました。

最後の雑誌記者の一言が、
現状の筆者自身の気持ちを表しているのかな、と。


若くして才能を花開かせ、
潰れてしまう人が、たくさんいます。

どんな作品を書いてくのか、
楽しみでもあり、早く読みたくもあるのですが、
そっとしておいてあげたほうが、いい気もします。

「書きたいときに書く」
そんなリズムが心地のよい方なのかもしれません。

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