鼻持ちならなくて面白くて
金井美恵子の本は読んだのがまだ3冊ですが,
非常に不思議な感心のさせられ方をします。
少女というものは大概,鼻持ちならなくて,人と生活の表れ様すべてを見下しているものですが,
少女を極めると金井美恵子になるなぁと言う感心です。本小説は不思議なつくりをしています。
文章教室に通い始めた主婦(モノローグのあふれる不倫実行中)とそれを取り巻く人々を,典型的文学文章で彩って,
才能の無い文章と愚かしい男女を徹底的に唾棄し,意地の悪さ全開で物語りは進みます。
うまい,うますぎるっていう感動と
身も蓋もなさすぎるよっていう感歎に身を任せて,するるるるんと一息に読み終えました。
ああ,少女になまじっかあふれる才能を与えてしまうと,おばさんになれずに金井美恵子になってしまうのだ。恐ろしいことです。
辛らつなユーモア
金井美恵子は「頭が良くて意地悪」とは高橋源一郎の言葉だけれど、その評にふさわしく、彼女の作品は辛らつなユーモアにあふれている。文章教室に通う主婦絵真、その娘桜子(サラ)を軸に描かれる人間模様は、掛け値なしで面白い。もしも文学や文芸批評を好きであればなおさらのこと、楽しめる仕掛けも隠されている。デイヴィッド・ロッジを楽しめるのだったら、日本の文学は金井美恵子で楽しんで見ると良いかもしれない。