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装丁と題名に惹かれて、最初の数頁を読んだらピサの斜塔と面接の話が面白くて、文章も良い感じだったので、はじめて長嶋有さんの本を買いました。 「泣かない女はいない」と「センスなし」が収録されています。どちらもカラッと晴れた青空の下で進むような話ではなく、冬の灰色の空の下を俯きかげんで歩きながら、じっくりと噛み締めるような話でした。 「泣かない女はいない」は、郊外の冴えない下請工場で働くことになった睦美さんが、そこで働くちょっとだけキラリとする樋川さんに惹かれて行く話。 最後、携帯電話に出て、晴れ晴れとした表情になった樋川さんが、この物語から抜けて行くところで、この話が終わっているのだと思いました。 「センスなし」は、聖飢魔IIが好きで、パソコンやデジカメが使えなくて、携帯は大きい方が良いと思っていて、趣味の良い旦那さんがいて、その旦那さんが愛人を作っている女の人が主人公。 この主人公と、同じく聖飢魔IIファンの「最近の子の方が、自分たちの世代よりも断然、趣味のセンスがいいことに気付いた」女友達の間のやり取りを中心に話が進んでいきます。 長嶋有さんの文章を初めて読みましたが、読んでいると頭の中がスッとしていく良い文章だと思いました。また、他の長嶋さんの作品も読んでみようと思いました。
きゃぴきゃぴする年頃をとおに過ぎた女性の物語。 彼女は今まで泣いたことはなかった。 数年同棲している彼氏がいるが、転職先の同僚に少しずつ惹かれていってしまう。 そして、とうとう、まだ付き合ってもいないのに、恋人に好きな人がいることを 告白してしまう。 『泣かない女』は感情をダイレクトに表にださないタイプなだけ。 やがて片思いの男性は転職することになり、想いを告げることもできず、淡い期 待もむなしく離れてしまうことに。 最後に、彼女はうずくまってしまい・・・。 誰もが一度は悲しい恋をするのだろうか? そのときだけは、女は皆泣くのだろうか? きっと、こんなシチュエーションに限って泣くのでしょうね。 (もっと相手を知りたいと願っても叶わない場合) だって、片思いの相手は中々興味深い人物だと感じました。 (著者の手中にまんまとはめられました) ほかの収録作「センスなし」共に、恋愛の切なさを感じました。 溜まった気持ちの出口が見つからない辛さを、深刻にならない ような伝え方で描かれています。 ここに男性作家と女性作家の違いを感じました。 著者とほぼ同年代なので、過去から現在まで時間軸を共有して きたかのように登場する音楽や「センスなし」のニュアンスも 共感できて面白かったです。
物語を楽しむ小説じゃなくて、空気を楽しむ小説。 書いてあることは、とるにたらない友達との電話でも話さないようなことなんだけど そのに流れてる空気が手にとれるようにわかる小説です。 登場人物も、男も女も、かなり地味で普通でおとなしいひと達です。 でも、昔、KISSが好きだったり、カラオケでボブマリー唄ったり メイクを施して聖飢魔Uのコンサートにいったりしてたひと達。。 こころをぎゅっと掴まれることも、ああ!!そうそう!!と激しく共感することもないけど 心穏やかに、その場が見つめられる気分です。 泣かない女はいないの睦美が、桶川さんを良いと思い初めて 告白もしてないし、するかも分からないのに 今のボーイフレンドに「好きなひとが出来た」って言っちゃうの。すごく分かるかもです。