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昭和53年発行の初版を「江戸・明治篇」と「大正・昭和・資料篇」に分冊し文庫での再刊とは うれしい限り。西鶴を筆頭に江戸戯作文学研究の大家のもうひとつの顔は、昭和初期から寄席 に通い、早稲田大学落語研究会の初代会長をつとめるなど、いわば落語の良きお旦の顔。 昨今のブームでさまざまな落語関連本が発行されているが、なかには断片的で著者の好み ばかりが色濃く反映された本も少なくない。もちろん、それはそれで楽しめる部分もあるが、 落語を知って楽しむためには、動かし難い歴史を系統的に振り返ることも重要であろう。 そういった意味で、歴史書として辞典がわりとして、落語愛好家にとって座右の書である。 大学教授の本だからといって決して読みにくいということはなく、もちろんテーマが落語で あり、大の落語愛好家の著作なので楽しみながらタメになる。まえがきに「お世話になった 記憶に残る資料」が列記されているが、その顔ぶれも見事であり、本書を読むことで参考と なった他の落語本の名作にも触れることができ、得した気分にもなれる。