暗号をめぐる闘争
「暗号」というだけで少しドキドキして、何かミステリアスなものを感じる私は、暗号についてちょっと調べてみようと思って、本書を手にしました。2日で読んでしまいましたから、結構読みやすかったのだと思います。 暗号の開発・解読とその独占に情熱を注ぐアメリカ政府、暗号を独自に研究し市民のものにしようとする数多くの数学とコンピュータ科学の天才・秀才たち。自らの誇りと利益と安全と理念を守るために、さまざまな人々のさまざまな思いが複雑に絡み合いながら物語は展開していきます。
当事者の発言を丹念に収集し、社会的背景も織り交ぜながら飽きがこないように緻密に作られていて、著者の能力に圧倒されます。
ただ、暗号に関する技術的な説明は、私にはあまり理解できませんでした。この点は現代の暗号理論の性質上やむをえないのかもしれません。また、登場人物が非常に多いので、主要な人物しかイメージが持てず、ちょっと困りました。
でも、読むべき本です。ネットワーク社会のプライバシーと情報の保護を考える上で、有益な情報を提供してくれると思います。
暗号と自由との関係について考えさせれる
米国で発展した暗号技術発展の歴史をわかりやすく解説しています。日本にいると暗号というとスパイなどを思い浮かべますが、本書を
読むとそれ以上に米国では兵器と同等の扱いがされていたことに
驚きを感じます。
また、そのような状況で、「暗号技術が人々の自由を確保する技術」
であると今のネットワーク社会との関係を速い段階で見抜き、暗号
技術を発展させ体制と対立してまでも普及させていった人々の卓越
した技術と精神には驚きを禁じ得ません。
内容は具体的な暗号化技術の詳細にまでは立ち入らず、その拝啓や
技術の意義をわかりやすく伝え、それに関わった人を中心に語られ
ています。挿入されるエピソードはもちろん実話ですが、読み物と
しても非常におもしろく興奮させられるものです。
今日、割と一般的に使用できるようになってきた技術ですが、
ほんの数年前クリントン政権時代には、ここに述べられているように
私たち日本では米国と同等の暗号技術、つまりセキュアな機能を
組み込んだ製品を利用さえできなかったのです。 というようなこと
を考えると、非常に身近に感じることができます。
個人情報保護法案などでプライバシーにますます焦点が当たっている
今日この頃ですから是非コンピューターに関わっている人は目を通し
ておくべきでしょうし、読み物としても楽しめることは保証します。
インターネットを使うなら知っておくべき内容です
たとえば、インターネットで本を注文するとしたら…自分の住所やクレジットカード番号など、人には見られたくない重要な情報を入れなくてはいけません。
そこで悪意のある人からあなたを守ってくれるのが「暗号」です。暗号なくして、現在の社会は語れません。この本は、難しい暗号の話はありません。20年かけてゆっくりと行われた「暗号の革命」を、それに関係した人々のドラマとして書いてあります。
これを読む前と後では、インターネットだけでなく、社会の安全性についての考え方が変わると思います。