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南海ホークスがあったころ―野球ファンとパ・リーグの文化史

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南海ホークスがあったころ―野球ファンとパ・リーグの文化史の商品レビュー

5.0 南海ホークスを通じたプロ野球文化史
昭和63年。
うち続く曇天模様と連日報道される昭和天皇のご容態、それに伴う「自粛」の毎日、
派手なネオンや音楽は町から消えて、国中がどこか暗いムードにあったのを憶えている。
南海ホークスがなくなったのも、そんな年の最中だった。

単体の野球チームを扱った本というと、多くはファン情緒に訴えたものが多い。
栄光と挫折のギャップが激しい南海の場合、特に懐古趣味的に語られる傾向があるが、
本書ではそういった悲壮さからキッパリ線を引いている。
南海ホークスにスポットを当てつつ、黎明期から現代にいたるまでの社会背景とプロ野球の位置づけ、
メディアとの関係、ファン気質の変遷などを、多角的かつ冷静に分析している。
本書の趣旨は南海ホークスという昭和パ・リーグの一典型を通じて、プロ野球文化史を発掘することと見ていいだろう。
そしてそれは高いレベルで成功している。

巨人を中心に据えるセ・リーグに対し、反巨人連合として成立したパ・リーグ。
私鉄連合を毎日がバックアップする体制でスクラムを組み、南海はその中心にいた。
毎日の撤退は最初の挫折、南海・阪急の身売りは草創パ・リーグの終焉だったと言っていい。
それはそのまま昭和の終わりに重なった。

あれから20年近い時間が流れた。
それでも、まだどこかに残る割り切れない想い。
最終章「線路は続くよ」は、そんな切ないファンの気持ちを見事に点描してくれている。
2.0 ホークスの本?
自分が20歳の頃に「消滅」してしまった南海ホークス。
球団の誕生と栄光、そして球団売却までの軌跡をたどった本の
ようですが、経済史的な考察が中心で、肝心のホークス野球に
関する記述はほとんどありません。
もはや自分世代的には伝説になっている御堂筋パレードの話をはじめ、
末期におけるフロントの無能ぶりや野村解任騒動なども少しは踏まえた上で編集して欲しいものです。
5.0 失われた思い出へのオマージュ
気鋭の学者二人 が書いた本なので、戦後プロ野球史、球団史、地域史、大衆文化史など、一つ、一つ丹念に事実を調査し積み重ねた研究書という側面も確かにある。
しかし堅苦しい本では無い。関西生まれで、南海ホークスを少年時代から愛しぬいた元ファン2人の、失われた思い出へのオマージュでもあるのだから。
一例に著者(の一人)が、この本を著述しようとした理由の一つが本書内の「エッセイ・夢の跡」に書いてある。
福岡に移転後、南海ホークスファンは、ここで一旦、ダイエーホークスを応援すべきか、違う道を選択するのか突きつけられたのだという。
著者(の一人)は移転後、一時ホークスの応援から距離を置いていたという。しかしダイエー初優勝をTVで見て、
「胴上げの騒ぎのなかに藤田学(元南海の若きエース・この時投手コーチ)の姿があった。(中略)不覚にも涙が溢れた。(中略)藤田はチームとともに九州に行き、野球を続けていた。藤田だけでなく、多くの選手が、ホークスで野球を続けていたという単純な事実を忘れていたことに気づいた。そして、球場に出かけ、ホークスに声援を送り続ける人びとがいることについて考えてみたいと思った。」と・・・。
さて、そのダイエーもソフトバンクに身売りされた。ホークスを身もだえする程愛していた元少年ファン2人は,どのような気持ちでこれを見つめたのであろうか。
4.0 プロ野球を見直せ
南海ホークスの盛隆・衰退・身売りを通し「パリーグ」の「人気が衰退」した経緯を理解するには最良の本と思う。又、応援とは?をもう一度見直すためにも今流の応援のルーツを求めている点も興味深い。昨年からのプロ野球改革も原点を振り返る事で、視点・観点の転換をもう一度求めたい。ファン・選手、そして経営者の方々へ。改めて「今一度」!
5.0 極めて客観的な野球史です
この本は、評価は星5つではなく「6つ」をつけたい名著である。

 帯に「巨人中心の野球史では見えないものがある!」と書いてあるのですが、歴史というのは記述者の立場によって大きく変わるものであり、そして見解がとかく偏るもの。この本は南海ホークス、とりわけ大阪スタジアムに焦点が当てられているものの、プロ野球全体の流れを客観的に論述している点でとても優れていると思います。

 また企業と球団がどのような経緯で関わっていったのかがわかりやすく書かれているので、球団経営の本としてもGOODです。
また随所に参考文献を記載し、それについての解説もあるのもすばらしい。

 これらのことから、この本は単なる娯楽的な書物でなく、きちんとした歴史書であると断言できる。もし大学などで日本野球界の歴史に関する講義を開講するとすれば、この本が教科書もしくは参考図書となることは必死であろう。

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