気付いた頃にまたやってくる風太郎ブーム
日本エンタテイメント文学史上に聳え立つ巨峰、山田風太郎。
忍法帖シリーズがおそらく一番有名でしょうが、ミステリ作家としても、超一級品を数多く残しているのです。その他にも芸風の幅広さは瞠目すべきものがありますので、興味をもたれた方は、是非全集などを手にとって戴きたいと思うのです。
さて。この作品は、本格ミステリです。古アパート「人間荘」に引っ越してきた一人の男が、押入れの中から見付けた一冊のノート。そこには、その部屋(16号室)の代々の住人が書き継いだ、人間荘を舞台に起きた6件の犯罪――殺人の記録が。
何故、一つのアパートの住人たちの間で連鎖的にそれは起きたのか?
連作短編集、の体裁をとった中篇とも言うべき作品ですが、兎に角一つ一つの事件が、トリッキーな謎と結末で綴られた、本格ミステリとして読み応えタップリの短編になってます。秀逸なトリックのアイデアを贅沢に、しかも短い中にここまで詰め込むとは――大天才、山田風太郎恐るべし、です。