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下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

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下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)の商品レビュー

4.0 超有名ベストセラーだが・・・
以前にベストセラーになった本著をようやく読んだ。

ただ、この本から学べることはあまり多くはなく、指摘されているように、nが少なく、目新しいことも特にはない。
しかし、「生き方が多様化しているにもかかわらず、幸福の多様化は進んでいない」。つまり、幸福と感じる人は結局、今までの価値観で幸福と感じる生活体系をしている、すなわち、高収入で奥さんがいて子供がいるという暮らしだという、一つの結論は、核心を突いているのかなと感じた。
パラサイト、ディンクス、未婚のアラフォーなど、バブルのころにはあまりない生き方・働き方をする人が徐々に増えてきている。それを幸せとする人ももちろんいるだろうが、(あくまで著者の調査の結果だが)結局、バブルのころから幸せとされている家庭像が、生活満足度が最も高いというところに、どこか納得させられた。

このような社会予測系の本は、新しい商品・サービスを生み出そうとしている人にとっては常にアンテナをはっていなくてはならないだろう。
3.0 中流の減少
中流が多くを占めていた高度成長時代から、
現在は二極化が進み、富裕層と低所得層に
分かれてきている。

本書は、上流の人には特に興味のない内容で、
下流の人には面白くない内容になっています。
中流の人が読むとなるほどと思うのでは
ないでしょうか。
2.0 上流から見た下流。
本書にある下流度チェックを見てわかるように、ここで言われている下流というのは、
社会的な落伍者のように、あまりいい意味で使われてはいません。元々、上流とか下流
とかいう言葉は社会階層として使われるものなので、当然そこに階級意識が介在するこ
とは不思議ではありません。著者は、経済的な格差に加えて、コミュニケーション能力
の格差や意欲の低さなども含めて下流という言葉を定義しています。その上で、近年こ
の下流という階層が増加しているという状況を、様々な統計や著者の独自の調査から明
らかにしています。

著者はマーケティングの専門家であり、この下流に対する調査も消費という観点が中心
になっているようで、男女を様々なタイプに分類して、その消費傾向を分析するといっ
た形で現代の消費者動向を探るというものになっています。ただし、全体的にその見方
は従来的というか、これまでの成長路線の流れを踏襲している面が強く、かつての勝ち
組・負け組という概念に沿った形で、男は年収の高さ、女は結婚が勝ちの条件とされて
いるようで、確かにそのような分類でいけば、近年の所得格差や晩婚化・非婚化といっ
た社会現象とも整合するものと思われます。このような調査から浮かび上がる、かつて
の中流層の減少と、下流層の増加から、ビジネスのターゲットをもっと上流に絞り込む
べきとの提言は説得力があり、マーケティング的には有効性が高いものと思われます。

しかし、本書は単純なマーケティング分析に留まらず、著者の社会論とも言える、現代
の日本の社会状況を憂えるような、下流批判へと展開していきます。極端にまとめると
下流はひきこもりで、ぐうたらで、意欲もなく、コミュニケーション能力も低く、年収
も低く、結婚もしていない社会の役に立たない人間であり、日本の将来に大変問題とな
る人たちであるという危惧を著者は抱いています。これは著者の下流の定義から来てい
るため、下流批判はある意味当然であるともいえますが、かなり一方的な印象を受ける
のも確かです。最初から批判するために、下流を定義していると言われても仕方がない
ように思われます。これはそのまま、現代の若者批判と言ってもいいかも知れません。
著者の言う下流が広がっているのは、現代の若者だからです。本書では自分らしさとい
う言葉からも下流論を展開し、自分らしさ追求派が下流へと繋がることを示しています
が、著者の展開する批判は自分らしさを自分勝手という意味合いで読み替えている部分
があるように思えます。確かに、一般的にも両者を同義に使っている人たちは多いので
すが、もう少し慎重に言葉を選んで分析したほうが良いように思われます。

このような著者の下流批判には、著者の価値観が大いに関係しています。それは、著者
にとって望ましい社会とは、流動的で活気があり、多様性のある刺激に満ちた社会だか
らです。著者の言う下流は、閉鎖的でエネルギーに乏しく、同質的で刺激の少ない人た
ちなのですから、このような存在が許せるはずもありません。それに、著者はかなり上
昇志向が強いようで、山の中腹で登るのを止めるような態度が理解できないようです。
しかし、著者の求めるような社会は、一昔前の高度成長期に主流だった価値観であり、
現在の成熟化に向かいつつある社会ではあまり適合性が高いとは思われません。確かに、
著者のいう下流は問題がないとは思いませんが、それは著者の価値観から批判的に抽出
した面が多いと思われ、もっと別の観点から、肯定的に評価できる下流の定義もあり得
ると思われます。本書で欠けてるのは、当事者意識ではないかと思われます。著者は、
東京郊外に住む若者たちを同質であるとして「バカの壁」の状態にあると批判しますが、
著者自身が「バカの壁」に捕らえられている可能性も考慮する必要があるかも知れませ
ん。もちろん、そう言っている私自身もなのですが。ただし、本書は数年前の本なので、
著者の価値観にも変化があるかも知れません。

本書は、著者の階層意識がかなり反映された、ちょっと偏った下流論だと思われます。
大変評価の低い本ですが、かなり多くの人に読まれ、その訴求力は評価に値するものだ
と思われます。ちなみに、本書の下流度チェックで、私はほとんど当てはまるというこ
とは言うまでもありません。
1.0 データの検証に強い恣意性
本書では、年収別に見ているTV局などの統計を取って、無理にカテゴリ分けしているように思います。
例えば、『年収が低い人はフジテレビを多く見る』『年収が多い人はNHKを見る』などの論理は無理があるように感じます。

実際、データを見てみると、統計的な大きな差異はないようにも感じます。本当に信憑性はあるのでしょうか?
私はどちらからというと、年収が低い部類の人間なので、どうにか脱出する手掛かりを、と思い手に取りましたが、何も役に立つ記述はありませんでした。
1.0 50過ぎた人間の書く本か?
著者がこの本を書いた目的は、自分が下流だとする人間を侮辱することでしょう。
ただ著者は特定の読者に正面から批判されたり彼らと対立するすることを避けるために、あえて上流、中流、下流(社会)という定義を不明確にし、著者本人の意見表明としてではなく客観的な統計まがいのものに仮説を語らせ「自分らしい生き方→フリーター→低収入→下流→…」という暗示によりある種の人間に対して侮辱的主張をしています。著者本人も特定の読者に反発されることを予測し先回りして自分の仮説に対してあえて自分で反証してみたりと白々しいフォローをしています。
著者は客観的で冷静なふりをしているつもりかもしれませんが、文章や価値観や統計データの偏りやその捻じ曲げた使い方でなんとも不気味な人間性がにじみ出てしまっています。事実やそれに基づいた経験ではなく、終始「これはデータであって自分は預かり知らないし仮説なので責任は取りません」的な態度でわざと書いているのは卑怯だと思います。

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