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「ニート」って言うな! (光文社新書)

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「ニート」って言うな! (光文社新書)の商品レビュー

4.0 この本を読むと軽々にはニートって言えない
 本書については、非常に主張は明晰で、内容に富んだ本であった。

「ニート」という言葉は、本来の専門用語を離れ、今やほとんど一般名詞化している。すなわち一般的には、仕事がなく・ぶらぶらしている状態を意味さえしている。この本は、ニートという言葉の本来の意味の定義は何で、それがなぜ・どうして全否定的なニュアンスの言葉として変質してしまったのかを明らかにすることで、「ニートって言うな」と主張する内容である。

 日本で「ニート」とは、通常、15〜34歳の若者の中で、学生でない未婚者でかつ働いておらず、求職活動もとっていない人を意味する。NEET(ニート)は、英語の同音のneatが「整った、片付いた、きれいな」という意味とは逆の「乱れた、乱雑で、ごみごみした」というニュアンスさえ日本語の「ニート」には深層心理に存在することにも驚かされる。これも、パラサイトシングル・ひきこもりと来て、ニートとなった言葉の過去(およびそれを政治的あるいは若者の教育論として利用した者)が大きく影響しているということだ。

 この本の主張の中核である「ニートって言うな」のとおり、この本を読むと軽々にはニートって言えない。
5.0 空を駆ける
 NEETについて、データ的にさらにいろいろと説明してくれている著者はいい仕事をしていますね。

 ニートニートと最近は不況の影響もあり、ますゴこみが騒がなくなりました。
 たしか日本では実際NEETの未来は終わりかもしれません。海外ならNEETでも心豊かに暮せそうですね。
 もしかしたら、NEEEEEEEETは、この腐った今の日本社会から逃げているだけなのかもしれません。しかし体験した者なら言える、NEETとは、何物にもとらわれない人生において、損はしない存在になっているのだ。 NEETになるもよし、ほかの人生の道をさがすもよし、またNEETに戻るもよし。
5.0 ニート問題に迫る
「ニート」とは、働かず、就学もせず、求職行動もとっていない若者を指す言葉で、日本では2004年頃より使われ始め、その急増が国を揺るがす危機のように叫ばれている。今や、ニートという言葉は、悪い若者ということを代表した言葉になっている。経済、福祉、法の問題として取り組むべきものが、若者層の甘えと親の過保護といった教育や心の問題にすりかわることにより、現状が把握できずに、対策が立ち遅れている。そういう現状を踏まえた上で、本書は冷静にニート問題について論じている。

やはり、企業の正社員採用における新規学卒者の特権を弱めて、フリーターなどの非正規雇用や無業の人たちにも企業の正社員採用を促進するといったことも重要だと思う。また、正社員と非正規雇用との断層を緩やかにしていくことも重要だと思う。その断層とは、処遇や社会保険などの格差と非正規雇用から正社員への移動障壁である。若年層の教育の問題も確かに重要ではあるが、それよりも問題なのは、若年層の構造的失業や雇用の問題であり、若年層の中で階層化されることである。それは若者個人ではなかなか解決できる問題ではないと思うので、企業や政治や政府が解決することなのではないか。

社会問題にすべきなのは、若者ではなく、若者を問題化する社会的勢力とその悪影響である。マスコミがあおりにあおって、大衆の不安と憎悪が膨れ上がり、教育的価値が他の価値が上回り、それを政治が利用することで、反市民的、戒厳令的、強制労働的な条例や政策や法改正がエスカレートしていきます。やはり、個人や家庭に責任を押しつけるのではいけないと思う。
5.0 ニート論にトドメの一冊。
刊行直後に買って読んだが、他の人のレビューに触発されて、今更ながらですが、レビュー。

当時は「ニート」=怠け者の若者というような印象でテレビなどでたれ流しされており、非常に違和感を感じていた。また、ニート論者たちの主張は丁寧に取材をするものの、社会施策や雇用環境の変化に踏み込まない、煮え切らない印象を強く持っていた。そんなときに、書店でこの本を見つけて読んだ。

ニート論やニート論者を厳しく批判している部分に目が行くが、その主張の展開は、統計などを論拠としており、しっかりした論文である。
また、NEETとニートの違い、言葉の作られた目的などの違いも良くわかり、非常に勉強になった。
冒頭のニート論者批判に戻るが、個人的意見としては、溜飲が下る思いであったし、ようやく、雇用情勢や社会施策を若者雇用の悪化の視点から批判的に検討できる人がでてきたとの印象を持った。
 雇用と労働者の関係はよく、イス取りゲームによく例えられる。イスに座れなかった人たちを見ればそれなりに、「能力が低い」か「意欲が弱い」といった要因が目に付く、一方、イスが減らされているという事実に目をむけると「イスが減ったから、減った分だけ座れない人が出てくるのは当然」となる。
 従来のニート論は「座れなかった人」に焦点を当て、丁寧に取材するのは結構なのだが、それ以外の要因への模索が無かった、もしくは少なかった。そのため、結局、自己責任論を補強する役割した果たさなかったといえる。
 社会問題の焦点が「格差」から「貧困」に移り、働く貧困層やネットカフェ難民が取りざたされる昨今、雇用環境や社会施策に視界を広げて若者の就業状況を考える視点は常識となりつつある・・、と思える。

3.0 もっと具体的に言えぃ!!
ウェブ上で偶然出会い、意気投合した三人の論者による共著。

本書のタイトルは『「ニート」って言うな!』。三人ともが、イギリス発祥の言葉「ニート」が玄田有史に
よって日本で紹介される際に微妙な誤解が生まれ、今もなおその誤解が説かれぬまま流用されていると
いう問題意識を共有してはいるものの、それぞれが独自の問題設定や切り口を持っているため、このタイ
トルに込められた意味も微妙に異なってくる。

本田由希氏的に言えば、
(若年層の就労問題を考えるにあたり不都合なカテゴライズだから)「ニート」って言うな!なわけであり、
内藤朝雄氏的に言えば、
(パラサイトシングル、ひきこもりに次ぐ若者叩きの単なる道具だから)「ニート」って言うな!なわけである。
この二人目までは面白く読めるのだが、三人目の後藤和智の担当した章は酷かった。いや、ちゃんと調べて
まとめてあるのだが、結局人の紡いだ言説をまとめることに終始しており、そこから何も見えてこない。

思うに本書のデキは、ちょうど冒頭から読むにつれ徐々に劣化していくように出来ている。最初の
本田氏の執筆箇所は大変面白かった。続く内藤氏担当の章もメラニークラインを援用して、高齢世代の
「若者叩き」を、若年層に対する投影同一化で説明する部分など、なるほどとうならせる部分なのだが、
それらを鑑みての施策を論ずる最終の第六節「自由な社会とはいかなるものか」は抽象的すぎて、何が何だか
という感じ。

例えばこれ「自由のなかで生のスタイルの完成度を高めていくことは、自分に馴染んでいくことでもあります。
たとえば、自分はなにが好きでなにが嫌いか、なにを愛しなにを憎むか、どんなときに幸福でどんなときに
不幸か・・・・・・、といったことがぴたっと身についていて、それに従って動いていると的確に幸福感がわいて
くる――こういう状態を、自分に馴染んでいる状態と呼ぶことが出来ます。」(213p)。それまできわめて
プラクティカルでわかりやすい説明が続いていたのにこの節ははっきりいってわけわからんかった。

ということで、本田氏の章を4、内藤氏の章を3、後藤氏の章を2と評価して、総合的に本書は星3つ。

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