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行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)

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行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)の商品レビュー

3.0 専門的
行動経済学についてしっかり書いてある本。ただ専門的過ぎて、正直よく分からなかった。

1.0 ごまかしに要注意
読者は非専門家だけという前提で書かれた本である。そもそも著者は、行動経済学の専門家と言える人物なのか?たまたま「双曲型割引率」について、本書がどのように解説しているのかを参照した。本書では、「第7章 近視眼的な心」のp.222以下に古典的な「指数割引」に対比させて、「双曲割引」を解説している(pp.225〜229)。ここで著者友野氏は、「古典的な指数割引は時間の経過にかかわらず割引率が一定である」という問題を指摘しつつ、「時間とともに減少する割引率」を想定した双曲型割引を説明している。友野氏は、双曲型の割引方法をあらわす式として、次の式を示している(p.227)。
現在価値=将来の名目価値/(1+d)
ここで、dは時間の遅れを示すものとし、「たとえば、1年後ならd=1、2年後ならばd=2・・・である」と説明している(p224)。
多少とも理論的なトレーニングを受けた読者ならば、上の式のどこに「時間とともに減少する割引率」が示されているのか疑問を抱くはずである。それもそのはずで、この式は読者を素人と見くびってでっちあげたとんでもない代物である。最も単純な双曲割引関数は、以下の通りである。なお、V(D)は遅延期間D後に受け取る報酬の効用、kは双曲割引率である。双曲割引関数は下式のようになる。
V(D)=V(0)/(1+kD)
この式から双曲割引率の変化を次式で示すことができる。
−[dV(D)/dD/V(D)]=k/(1+kD)
上記右辺から、遅延期間Dが増すにつれ、割引率が減少することが示される。本書が記述する2つの関数から描かれたはずのp.228の図も全くでたらめな図である(著者はこの図を数学的に理解していない)。このことは高校レベルの数学力で見抜けるはずである。本書p.227のおもちゃのような式が双曲割引計算の基本式などと勘違いしないよう、読者諸賢の注意を促したい。さらにp.116には、「Aにとっては4000万円が参照点であり、・・・、参照点の価値はゼロ、すなわちv(0)=0であることに注意しよう」と書いてある。Aの参照点が4000万円ならば、参照点は、v(4000)=0と書くべきである。こうしたミスも著者の理解が生半可である証左である。注意しなくてはならないのは、著者の方だ。
いずれにしても、入門書であればこそ、セイラーなど第一級の研究者の著作で学ぶべきだという教訓を本書は提供してくれる。この教訓を与えてくれることが本書の唯一無二の存在理由である。「標準的な経済学を超える」というレビューもあるようだが、著者自身標準的な意味で「経済学者」の範疇に含まれる人ではないだろう。
4.0 経済学の素人でも、十分楽しく読める。
人間の感情を重視する経済学、「行動経済学」についての本。

いくつもの思考実験や具体例を通して、
いかに人間の行動は合理的とはほど遠いか、考えさせられます。

私は標準的経済学のことはわかりません。
しかし、そんな私でも上記の具体例が興味深く、楽しく読むことができました。

千円手に入れたときの喜びよりも、千円なくしたときの悲しみの方が大きくありませんか?
食べ放題の店に行ったら、お腹が苦しくても元を取ろうとしませんか?
600人中、200人が死ぬ政策よりも、400人が助かる政策の方がよく思えませんか?
ピンと来た方、オススメです。

400ページと新書にしては厚いし、内容がやや難しいところがあるので、
サクッとは読めないかもしれません。
しかし、何度も目から鱗が落ちるし、実生活で役に立つ知識も多いです。
飛ばし飛ばしでも、ぜひ読んでみてください。
2.0 指摘されないのか?クイズの矛盾
全体的に高い評価を得ていますが、いくつか思考の掘り下げが安易かと感じる部分がありましたので、評価を厳しくさせていただきました。
「詭弁」とも思われる論理誘導がある部分に関してどうしてもひっかかりを感じます。
いくつかあるのですが特にわかりやすいのが下記の2点。

1)文中に出てくる下記のクイズの設定に疑問

「ある致命的な感染症にかかる確率は1万分の1である。あなたがこの感染症にかかっているかどうか検査を受けたところ結果は陽性であった。この検査の信頼性は99%である。実際にこの感染症にかかっている確率はどの程度であろうか?」

著者は、上記のクイズを多くの人が間違う事実をもってして「人は事前情報を軽視する(この場合は病気の感染確率が事前情報)」としていますが、この問題にはちょっとしたトリックが隠されています。

この問題設定では、読み手は”直感的”に「検査の確立は絶対に普遍だが、感染にかかる確率は1万分の1で常に一定なわけではないよな?(その人が接触した人や事前の健康状態によって感染確率が変わるよなあ)」と感じてしまわないでしょうか?

たとえばもしこの問題が、
「あるコップの水を飲むと必ず1万分の1で病気に感染するが、その水を飲んだ人間が・・・」と設定されていればどうでしょうか?
これでも同じように人は事前情報を軽視するのでしょうか?

行動、認知を限りなく正確に推し量ろうとするのであれば、測定したい部位以外で余計なバイアスがかかりそうなリスクはすべて排除すべきではないでしょうか?

著者はあらかじめ人間が直感的に事前情報を軽視してしまいそうな問題を引用して「ベイズ・ルール」を説明しています。
くりかえしになりますが、「事前情報」があやふやな問題ならば、「事前情報」を軽視してしまうのは当たり前でしょう。詭弁にしかなりません。


2 著者が挙げた下記の例があまりにも安易

ある雑誌に「会社の社長の70%が毎日日記をつけていた。だから日記をつけるのは成功の秘訣」と書かれていたことを著者は批判しているのですが、
そのためにあげた例が「もし会社の社長の90%が毎日歯磨きをしていたら、歯磨きは成功の秘訣といえるのだろうか?」というものがありました。

日記のロジックを批判することそのものは間違っていないと思いますが、そこに出してくる材料が「歯磨き」とは、学者としてはあまりに安易です。日記の文脈に説得力がある(ようにみえる)のは「日記」が比較的多くの人にとって「近いようで遠い」存在だからです。「歯磨き」と「日記」はその観点で、文脈の中における本質的な意味がまるで違ってしまいます。

意味が違った文脈ならば、人が受け取る意味が異なるのは当然ですよね?
「歯磨き」のかわりにもっとこう「毎日トイレで新聞を読んでた」みたいな(笑)、もうちょっと気の利いた例を出せなかったのでしょうか?

このように、著者は「本質的な意味で重要な文脈」を比較的安易に摩り替えています。ご本人も気づかれていないのかもしれませんが、「認知科学」にも近しい分野のなかで、前提条件の条件設定が雑であることが残念です。このことにレビュアーのどなたも触れていないことが不思議でなりません。

また、学者さんですから仕方がないと思いますが、新書として考えると、あまりにも文章が不器用です。
5.0 新書のレベルを超えた良書
新書版ですが内容は非常に濃い本です。行動経済学の基礎的な事項が分かり易く、しかも、理論的に説明されています。特に参考になるのは本書の巻末の「主要参考文献」です。日本語で書かれた本の場合、ほんの申し訳程度の参考文献しか挙げられていないものが(専門書を含め)数多く見受けられますが、本書では英語の文献を中心に数多くの参考文献が挙げられているので、これを参考により深い学習ができると思います。

意欲的な学習者をより「高み」に導びくという、入門書の原理原則を忠実に守る非常に良心的な本だと感じました。

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